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ICチップ付きパスポート

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 先週渡米した際に、はじめてICチップ付きのパスポートを使った。ところが、米国入国審査の窓口では、なんらICチップが付いていないパスポートと変わるところはなかった。

 この新しいパスポートは、2006年3月20日から申請受付を開始している。これが導入された背景は、パスポートの偽変造や成りすましによる不正使用の増加に対し、より偽変造が困難で、安全性の高いパスポートとするためだとのこと。パスポートについては生体情報認証技術(バイオメトリクス)の応用も検討されており、ICAO(国際民間航空機関)で国際標準化作業が進められている。2003年5月には、記録媒体として非接触型ICチップを、ICチップに記録する必須の生体情報として「顔画像」を、ICAOでは採用している。これに基づき、日本でもICチップが入ったパスポートを発行することとなり、生体情報に「顔画像」を記録しているとのことだ。

 ちなみに、外務省によると

ICチップに記録された情報が御本人の気付かない間に読み取られることのないように安全対策を施しています。また、IC旅券と読取機の通信距離は10センチ以内で、かつ、情報は暗号化されていますので、盗聴対策も万全です。

とのこと。情報は暗号化されているので、ICチップのデータを読み取れる装置があったとしても、すぐには解読はできないようだ(だから万全なのかというのは別の話のようには思うが)。

 IC旅券に強い衝撃を加えたり、高温の場所や磁気の強い場所に保管したりすると、ICチップに異常を来す恐れがあるので取扱いには注意が必要とのこと。ICチップを壊してしまうと旅券の再発行になるようだ。つまり、通常の旅券発給手数料が発生するということ。ICチップが読み取れなくても、いまのところは通常通り出入国の審査はできるようだ(今後は国によっては事情が変わるのかもしれないが)。

 たとえば、2006年10月26日以降に発行されるパスポートについては、IC旅券でないと米国ではビザが免除されない。米国入国時にIC旅券ではあるけれど、ICチップが読めないときにどういう対応になるのかはよく分からない。この状態で素直に通してもらえるのだとすると、パスポートにICチップが付いている意味がないようには思うのだが。そうなると、すくなくとも出国時に、ICチップがきちんと読み取れる状態なのかをチェックする必要がある気はする。

 ICチップが付いたことで、従来より1,000円旅券発給手数料がアップされている。いまのところ、ユーザー側では1,000円ぶんのメリットを感じることはできない。せっかく非接触型のICチップが搭載されたのだから、JR東日本のSuica改札みたいにタッチするだけで入国審査が終了なんてなるといいのに。まあそのためには、改札通る瞬間に別の生体認証を一瞬でおこなう技術が、別途必要になりそうではあるが。

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