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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

全体最適が次なるITキーワードなのか

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 半年が経過して、今年前半のITキーワードとしては、日本版SOX法、内部統制、仮想化、SaaSなんていうところを挙げておけばまず間違いなさそうだ。次なるキーワードとして出てきそうな予感がするのが「全体最適」ではと感じている。

 全体最適というITシステムの方向性は、別に今年初めて登場したわけではない。そもそも、メインフレーム全盛の時代は、システムが乱立するようなことはなかったので、全体最適化とはいわずともシステムは1つに統合されていたともいえる。

 それが、オープンシステムだ、エンドユーザー・コンピューティングだといった時代になり、プログラム開発環境も充実し、誰でも容易にシステムを構築できるようになる。結果として、部門ごとにその部門が欲するシステムが、どんどん登場することに。この時代を知っている人間は、自分もそうだが手許に(自分用の)サーバーを置きたがる。

 その後、ネットワーク技術が発達し、技術はオープンでもシステムとしては「集中管理」のほうが効率がよい、と言い出したのが1999年とか2000年くらいだろうか。この頃、UNIXサーバーやストレージなどの能力も飛躍的に向上し、大規模なオープンシステムが実現できるようになったことも、集中管理を後押ししている。集中管理は、紐解けば全体最適に繋がっていく発想だ。

 またこのころには、ビッグバン型に導入できるとかなり企業としては幸せになれるERPパッケージも登場。ERPも、理想の姿は全体最適化された統合アプリケーションで会社全体を管理、運用することになる。

 その後に登場してきたのが、SOAという考え方。これが、「全体最適」というキーワードに、いまスポットライトを当てている。SOAというキーワードは、数年前からIT業界で頻繁に使われてきたが、その考え方は徐々に普及しても「現実に動く具体的な形」にはなかなかならなかった。ここにきて、SOAが現実的に使えるものなってきたことが、今後システムの全体最適化といったことをITの重要なキーワードに昇格させるのでは。さらに、社会的な要求、つまりは内部統制やコンプライアンスへの対応という面からも、全体最適化というキーワードは追い風を受けている。

 というわけで、2006年後半では、頻繁に「システムの全体最適化」といった行(くだり)をニュースなり記事なりで目撃することになりそうだ。そのときに頭角を現してくる企業は、さてさていったいどんなところなのだろうか。

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