データのプライオリティ管理を1台で
本日参加したEMCのプレス発表は、中堅以上の市場をターゲットとした新しいストレージシステムの発表だった。米国からそのCLARiX製品担当の上席副社長ジョエル・シュワルツ氏が、今回の発表のために来日したというのだから、EMCの力の入れようが伝わってくる。
発表の詳細は、ITmediaの記事や@ITのDELLによるOEM発表記事を参照していただきたい。今回の発表で感心したのは、このミッドレンジのストレージに、エントリーレベル機種CX3-20でも120台のディスクを搭載でき、1つの筐体に複数のストレージ階層を共存させられる機能。ようはハイパフォーマンスのディスク群から低コスト大容量のディスク群までを階層的に配置して、データの重要性やトランザクション性に応じて保管先のディスクをダイナミックに変化させられるのだ。
通常であれば、信頼性の高い超高速ストレージでミッションクリティカルなOLTP処理を、それより少し劣る業務アプリケーションの処理はそこそこのストレージで、さらにアーカイブのためには低価格で大容量のストレージをということで、3種類のストレージを用意することになるだろう。そして、有効期限に応じてそれぞれのストレージ間でデータを移動させる。ところがこの新機種では、これを1台の筐体でまかなうというのだ。当然ながら、筐体内でのデータ移動にストレージの停止は必要ない。
もう1つ感心したのが、ディスクを交換するなどのセットアップやメンテナンスをユーザー自らおこなえるというもの。EMCの高価なストレージのディスクを、ユーザーの手で交換できるようにするというのは、技術的に可能かどうか以上にメーカーサイドにそれなりの「覚悟」を要求するものだったにではないだろうか。
あいかわらず、ストレージ市場は好調なようだ。なかでもミッドレンジ市場の成長は全体のそれを上回るとのことなので、ここでの成功が今後のストレージ市場での主導権獲得に大きく寄与することになりそうだ。普段あまり表に出てこないIT分野かもしれないが、企業のコンプライアンスやSOX法対応などで起こる「もっとも強い追い風」を受けているのは、ストレージ関連かもしれない。