明治時代の上野動物園にはカンガルーがいたらしい
国立国会図書館の明治時代の蔵書が、オンラインで公開されている。すでに39,000タイトル6万冊が公開されていたのに加え、約5万タイトル(約6万7000冊)の図書が今回追加公開されたとのこと。
公開されているのは、「近代デジタルライブラリー」というWEBページ。アクセスすると、いきなり検索ワードを入力するシンプルな画面が現れる。お勧めの一冊とかあればいいのだが、そういったサービスはないようだ。仕方がないので「分類で検索」をクリックして、NDC(Nippon Decimal Classification:日本十進分類法)分類で「自然科学」「動物学」と進んでみた。動物学に分類されているのは237件。ちなみに「医学、薬学」は3,147件もある。
一番上にあった1902年の本である『上野動物園案内』(著者 石川 千代松)を見てみる。最初のページは、当時の上野動物園の平面図。表示を大サイズ画面に変更しないと、文字が掠れていて判別できない。本文のほうは、旧仮名遣いで日本語なのにうまく読めない。ちょっと自分が情けなくなる。このころすでに、上野動物園で「かんがるう(カンガルー)」が飼育されていたのを知って驚く。「うをむばつと(ウォンバット)」までいたとは。
プラグインを入れてJPEG2000の形式で見たほうが、操作性も画面もきれいだ。ただし、その際にはMicrosoft Internet Explorerでなければならない。志々(獅子 ライオン)ももちろん飼育されていたようだが、絶滅してしまった大好きな日本オオカミは飼育されていなかったようだ。残念。
ちなみに、当時の本であれば著作権が切れているので、公開しても問題がないのであろう。最近では、著作権が切れた明治時代の書籍を、復刊して現代の文章表現に直して出版するなんていう動きもあるようだ。著者に著作権料を払わなくていいのだから、出版社の儲け幅は多少増えるのか(編集作業は相当苦労しそうだが)。明治時代の本は、使われていた紙が酸性で傷みが激しいと聞いた。おそらくこのアーカイブのために、人出により慎重にスキャナー撮りがなされたのであろう。気の遠くなりそうな作業だ。とはいえ、こういった昔の貴重な資料が、簡単に自宅のPCから閲覧できるというのは、なんだか楽しい気分になるものだ。