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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

当たり前だが、税金は無駄なく使ってほしい

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 今年もe-Taxで申告をおこなった。いまのところとくに税務署から連絡はないので、なんとかうまくいったのかなぁと思っている。昨年は、e-Taxを使うのが初めてで、住民基本台帳カードの交付を受けるのにあちらこちらに出向いたり、ICカードリーダーの購入に手間取ったり。さらには、e-Taxのソフトに多数のパスワードもどきを設定し、このソフトはどこまでなにをしてくれるものなのかが理解できずに大わらわだった。

 発行されている市区町村によってはICカードがリーダーで読めないかもしれない、とヨドバシカメラの売り場担当の方に言われたときには、なんじゃそりゃ! 状態でけっこうあっけにとられたりしたのも去年のこと。今年はそんな努力の甲斐もあってか、いとも簡単に申告作業は終わってしまい、これでよかったのか不安にすらなったのだった。

 昨年とは異なり、今年は給与所得と個人事業主の青色申告の二本立てでの申告。国税庁のウェブページにあった青色申告用ツールを使い、作成したデータをe-Taxソフトに取り込んで送信ボタンを押すだけで、あっけなく終了。もちろん、青色申告用紙は別途購入した財務会計ソフトを使って作成したので、そこから必要なデータを引き写すという作業は必要だった。

 昨年はe-Taxの仕組みや使い勝手に文句たらたらだった(今年は多少改善されてはいる)が、この程度の手軽さだったらまあそこそこ使えるんじゃないか、といったところか。せっかく揃えた電子認証環境なのだが、年に一度の確定申告時しかいまのところ出番がない。当たり前だが、手許のIC入りのカードをいろいろ差し込んでみたが、なんらかハッキングでもしない限り中身が簡単にみられるわけもない。年に一度の申告では、手順をいちいち思い出すのにも手間がかかる。もっと普段別なことに利用できれば、カードリーダー代金の元もとれるのだが(ちなみに住民基本台帳カードは、世田谷区では印鑑証明書や住民票の取得には利用できる)。 

 3月18日の日経新聞の社説によると、今回の納税期間中のe-Taxの個人利用は約3万2,000件と前年の倍近くに増えたが、全体の利用率は法人、個人合わせ1%にも満たないとか。年に一度しか利用価値のないカードリーダーを数千円で買おうと思う人は、まだまだ変わり者の部類に入りそうだ。この社説でも指摘されているが、普及が遅れている理由はまず宣伝不足と使い勝手の悪さにある、ということだ。

 英国やフランス、オーストラリアなどでは電子申請の利用者に対し、税控除を認めたり還付時期を早めたりするなどの優遇策を導入しているとのこと。政府は「IT新改革戦略」で2010年までに50%の普及率を目指しているらしいが、こういった具体的な優遇でもない限り、あえてe-Taxをという動きには当分なりそうもない。

 ところで、納税って国民の義務なのに、義務教育のなかではなんら納税や申告について教えてもらった記憶がない。これは、日本特有の現象なのだろうか、諸外国もこんなものなのだろうか。

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