2008年以降に訪れるシステム投資の「谷」!?
製造系や電機メーカーなど、いくつかの大手企業が新卒採用に積極的な姿勢を示しているようだ。新卒採用強化のニュースを目にすると、景気も本格的に回復してきたのかなと思えてくる。賃金ベースアップの話題も多いが、中小は据え置きかマイナスなどという声も聞こえてくるので、すべての人が回復を実感するのにはまだ時間がかかりそうだ。
3月15日の日経新聞の朝刊13面に、「先読みビジネス天気 情報システム SE不足、本格回復の壁に」という記事が掲載されていた。開発案件はいくらでもあるが、人手が全く足りない状況があるとのこと。感覚的にはバブル期のようだ、といったコメントもある。SE不足で仕事を断らざるえず、業績予測を下方修正する企業もあるとか。
SEの派遣、請負の料金も好転の兆しが見えているとのこと。我々の周辺ではとんと見かけたことはないが、他社より10万円多く出すから人員を確保してほしいというおいしい状況もあるとか。
この記事の最後の方に、
どう中長期にSEを育てつつ、システム構築の生産性を高めるか。08年以降といわれるシステム投資の「谷」にさしかかるまでもなく、業界は難題に直面している。
という行がある。このシステム投資の谷というのが気になりググってみたのだが、これといって2008年以降になんらかシステム投資に厳しい状況が起こるという話題はみつけられなかった。この記述の手前に、外資系大手幹部のコメントとして、大型案件が続く08年まで活況だとのコメントが引用されているので、これをもってその後にシステム投資の谷がやってくるという表現を用いたのだろうか? そうであれば、いささか乱暴な気もする。
先日のForester Researchによる2006年の日本企業のIT予算動向に関する調査結果によると、諸外国は強気の見通しをもっているのに、日本だけがIT予算削減の意向を示しているとのこと。とはいえ、この調査結果のように市場として先行きが明るいことはなくても、投資の「谷」というほどの出来事は予測されていない。日本版SOX法の適用は2008年4月以降ということで、たしかに2008年前後にシステム投資の1つのピークがきそうな予感はあるが、すべての投資がこの時期に集中するとは思われず、その後は谷というよりは緩やかに変化するのではないだろうか。
というわけで、2008年以降のシステム投資の「谷」を形成するような出来事とは、どんな要因によるものなのだろうか? どなたか、なにかヒントをご存じな方は、ぜひともご教授願いたい。