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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

ICTってなんだっけ

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 TVを見ていたら、「ITの時代は終わった」という(NTTコミュニケーションズの)CMが流れてきた。効率化によるコスト削減のためのITは一通り終了し、ICTの時代になったというもの。

 あれICTってなんだっけ、どっかで聞いたことあるなぁ。CMの画面には「Information and Communication Technology」。そうそう、ITの間にCommunicationを入れたやつだったと気付く。たしか政府系の方がプレゼンテーションのなかで使っていたっけ、ということでGoogleに聞いてみるとHITACHIの電子行政用語集というページにあった。解説によると日本ではITと同義語として使われ、ICTのほうが国際的には定着しているとのこと。総務省から出ている「IT政策大綱」も2004年度から「ICT政策大綱」に名称変更されているらしい。うーむ、総務省の努力とは裏腹に、ICTはまだまだ定着しているとは言い難いような。

 e-Japanはよく知られているが、次なる概念のu-Japanも今一つ定着していない。ちなみにu-Japanは、ユビキタスネットワークが実現される社会を指す。e-Japanで整備されたインフラを活用し2010年までにユビキタスネットワーク社会を作ることで、世界のICTの先進国になるというものだ。

 新しい言葉を定着させるのは難しい。業界で普及しやすいといわれる3文字アルファベット言葉だが、ITがあまりにも定着してしまったために、あえてCommunicationを強調したいという理由でもない限りICTは使われていないのが現状か。e-Japanのほうが広く普及したために、u-Japanが取って代わり普及するのも難しそうだ。そもそもu-Japanの説明文は理解できるが、具体的なユビキタスネットワーク社会の姿が今一つ思い描けない。e-Japanは、インフラ整備中心だったこともあり、時流に乗って予定よりも速いペースで目標を達成していった。u-Japanのほうは、人々の生活や社会のあり方が目標として設定されているので、なにがどう改善されるとユビキタスネットワーク社会が実現されたというのかがわかりにくい。

「誰もが安心・安全に暮らせる社会の実現」という言葉が、「ICT政策大綱」で使われている。先日記者の方と、最近のITの状況下では関わっている人はみな苦しい思いをしているのでは、という話題になった。利用する側にとっては、セキュリティに気を使いすぎるあまりどんどんITは使いにくく素人には「怖い」ものになっている。ユーザーサイドの要望、要求が厳しくなり開発現場の環境はよりいっそう厳しく、常に仕事に追われ開発者は常に苦しい思いをしているのではというもの。2010年までにICTで誰もが安心・安全に暮らせる社会が本当に実現できるのだろうか。技術の進歩だけでなく、法律規制など利用する環境の整備が十分に追いついてこなければ、山積みの課題の多くが解決できないのではないか。

 後を絶たないSPAMメール、相変わらず続く情報流出事故、増え続けるネットを利用した詐欺などの犯罪、こんなニュースを見ていると2010年のu-Japan実現はちょっと難しいのかなと思えてくる。

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