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 日経新聞の12月26日朝刊11面の「新進気鋭」というコーナーに、アイレップという会社の有料老人ホーム紹介サイトに関する記事が掲載されている。アイレップは、売上の大半はネット広告事業で売り上げるという会社だが、2002年から有料老人ホーム施設の情報掲載サイトを始めたとのこと。

 相談は無料で、入居が決まると老人ホーム事業者から手数料が入るという仕組み。実際にスタッフが施設を見学するなどで、利用者の満足度をあげるための情報収集を実施しているとのこと。当該サイトへの月間のアクセス数は、15万を越えるという。それだけ、老人介護の問題は、多くの人の関心事となっているのだろう。

 じつは、私事だが家族が長いこと入院している。大学病院などの治療施設は治療体制も看護体制も充実しているところが多いが、基本的には研究、教育という目的があるので、治療のための入院目処は1ヶ月間となっているようだ。他の病院であっても、長くて6ヶ月程度を目処に病院を変わるのが普通だ。

 このことに対して、とくに文句があるとかそういうわけではない。ただし、病院を変わるというのは、家族にとって、患者にとって極めて苦労する事柄だ。まず、病院の情報というのが、素人にはよくわからない。転院先の病院を探してくださいといわれ、インターネットで調べても、診療科目や病床数、看護士の人数など基本情報しか得られない。そもそも、インターネットで調べられるのは、情報発信している限られた病院のものだけだ。

 病院にはケースワーカーと呼ばれる相談員がいて、病状に応じた病院を紹介してくれるが、どうも病院とか医者の世界というのは、人と人のつながりを重視しているようで、付き合いのあるところや実績のあるところを中心にしか紹介してくれない傾向がある。そのため、かならずしも家族や患者の状況に合致したところが候補としてあがってくるとは限らない。実際に紹介された病院に行き状況を確認したり、インターネットで口コミ的な情報を集めてみたり。とはいえ、結局は入院生活を送ってみないと本質はわからない。

 前出のアイレップもそうだが、人々が必要としているのにまだまだ情報が十分に流通していない分野がたくさんある。来年以降、ITの革新的な技術進歩はあまり期待できないが、地道に情報を集めてそれをITサービスに結びつける動きが活発化し、事業としては成功するのではないだろうか。テクノロジーの上にきちんとしたコンテンツを載せることが重要であり、コンテンツがIT技術よりも重要性を一層増してくるだろう。

 ところで、入院情報のよりよい流通については、NPO等で実施するのがいいのではと考えている。どなたか、賛同していただき事業を興してみたいという病院関係者の方はいませんか?

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