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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

突っ込み具合

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 昨日ここで、「個人情報は誰が守るのか」という題で、朝日新聞の社説記事で掲載された楽天の個人情報流出について書いた。その後、楽天がカード流出対策を発表したとのこと。それに関連して、いくつかの報道をチェックしてみた。

 まずは朝日新聞。「楽天、クレジットカード番号一括管理へ 個人情報流出で」という記事が、8月1日の夜asahi.comに掲載されている。記事は、クレジットカード番号を楽天で管理し店舗側には渡らないようにするという、楽天の発表内容を伝えるもの。最後は、「カード番号が店舗に渡らない世界で初めての試み」と述べた楽天の三木谷社長のコメントで締めくくっている。ちなみに、この内容は8月2日の朝刊本紙の記事と、内容は同一だ。

 日経新聞もほぼ同様の、楽天の発表に忠実な内容の記事が8月1日の夜NIKKEI NETに掲載されている。しかしながら8月2日の朝刊本紙には、これに加え楽天出展店舗の大手ケンコーコムを取材したコメントが追加されている。コメントの内容は、店舗側が独自に低い手数料でクレジット会社と契約しているのに楽天がクレジット番号を渡さないのはいかがなものか、という楽天の対応に批判的なものだ。

 ITmediaでは「楽天・三木谷社長がカード流出対策発表、店舗の理解は得られるか」という題で垣内さんがニュースを書いている。楽天の発表を忠実に伝える一方、

楽天の新しいセキュリティ対策が成功するかどうかは、店舗や顧客の負担をどれだけ小さく抑えるかにかかっている。運用コストや手数料コストが跳ね上がるようだと新システムの利用は伸び悩むことが考えられる。

と、セキュリティ対策に対するコストについてもきちんと言及している。ITmediaでは、別途「楽天市場の会員情報管理を強化 店舗とカード番号情報を遮断へ」という記事で岡田さんが図入りで今回のセキュリティ対策を解説している。

 日ごろ、こういったネタへの突込みが厳しいメディアの1つITproはどうだろう。「【続報2】楽天、全店舗をカード決済代行サービスに強制加入へ」という記事が掲載されている。中身はやはり楽天の発表内容を忠実に伝えるものだが、1点他と異なるのは、現段階ではっきりした流出原因が特定していないにもかかわらず、あたかも流出元として扱われているAMCが、自社サイトで社員による人為的な流出はないという調査結果を掲載している件にに触れていること。

 もちろんこのほかにも、この件については多数報道されている。ここで挙げたもののなかでは、日経新聞の追加取材による店舗側の意見の掲載とITmediaの垣内さんのコストへの言及の突っ込み具合がなかなかいいなぁと感じている。読者の立場で、1つの題材を把握するには、いくつかのメディアを当たってみる必要がありそうだ。記者の方の独自の調査、取材や視点は、やっぱり記事を面白くするのだなぁと思うのであった。

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