紙とオンラインの融合
アスキーから「アスキービジネス ITスキルアップ」という雑誌が創刊された。同時にビジネス支援サービス「アスキービジネス」というWEBサイトも開設された。編集長の大島伸一氏の挨拶によると、WEBは一般教養、雑誌は専門課程という位置づけとのこと。
西尾さんの「神輿ロッカーズ」というブログのコメントに「そう考えると雑誌はやはり大変な時期だ」とあるが、私もまさにそう思う。紙は嫌いではないのだが、WEBにアクセスしている時間と雑誌を読んでいる時間をくらべると、はるかに前者のほうが長い。これがWEBにあまり情報が載っていない自然環境やらなんやらであれば、紙の情報をとも考えるところだが、出版不況のためか逆にそういった分野で読みたいと思う雑誌になかなか巡り会えない。
ITmediaが@ITと融合することが決まった際に、関係者の方々に今後の展開として紙は考えていないのですかという質問をした。当時ははっきりした方針が出ていたわけではないようで、人によって答えは微妙に異なっていた。個人的には、今でもオンラインとオフラインメディアの融合について、ITmediaにはぜひとも考えて欲しいと思っている。
今回のアスキーの試みは、さてどうのような結果となるだろうか。アスキーでこれまでに、ビジネス系やエンタープライズ系の要素をもった媒体はあまり成功したとはいえないだろう。今回の雑誌およびWEBのコンテンツでは、ビジネスのなかでも中小企業をターゲットにしているようだ。そんななかで、雑誌のほうのコンテンツでかなり中小企業のIT担当者が興味を持ちそうだと感じたものがあった。税理士の今村氏が監修している「IT投資促進税を活用しよう」という記事。大企業に所属していたらなかなか気がつかない、中小企業ならではのポイントを抑えている面白い記事だと思う。
これまで目にしてきた中小企業のIT化をターゲットとしたメディアのコンテンツは、メーカー論理を上から押し付けたものだったり、逆にあまりにも初歩的な内容に振りすぎていたりで、ちょうどいいものをあまり見かけたことがない。今後、アスキービジネスがターゲットのニーズをうまく捕まえていけるかどうかはよくわからないが、WEBと雑誌のメディアミックスという方法そのものが、このターゲット層でうまく機能するのかについては興味がある。結局のところ広告収入にたよったビジネスモデルだけだと、難しいのではと個人的には思う。ユーザー側でコンテンツそのもの価値を認めて、なんらか費用を払う仕組みが必要だろうなと考えている。