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大学で教えることになりました

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ブログを書くのは、なんと今年初!です。
ずいぶん、長い間、さぼってしまいました。
その間、オルタナティブ ブログのことを忘れていたわけでも、書く気力がなくなってしまったわけでも無いのですが、ある仕事の準備に追い立てられておりました。(忙しくても、コンスタントにアップされている方が多い中、お恥ずかしいです・・・)
その仕事とは、というか、もうタイトルに書いてしまっていますが、
4月から、大学の非常勤講師として、いくつか講義を受け持つことになりました。

母校である日本大学生産工学部からお声かけいただき、「キャリアデザイン」、「情報科教育法」、「コンピュータ演習」、そして、同じ千葉にある日本大学短期大学部からもお話があり、「技術者倫理」を教えています。
前期はそれぞれ15回の講義があります。コンピュータ演習は2コマ(2時限)ですが、他は1コマです。
「キャリアデザイン」、「情報科教育法」、「コンピュータ演習」は、後期も、同様に15回(正確には、名称が「○○I」から「○○II」になる等変わります)あります。
それぞれの講義のシラバス(学習計画)を用意し、また、教科書の選定、講義資料の準備と、年明けから大童でした。まだ、すべての資料を準備するところまではいかず、相変わらず、時間に追われているのですが、落ち着くまでブログが書けない、なんて言っていると、下手したら、来年になってしまいそうなので・・、この辺で、近況報告を兼ねて、どんな講義なのかをご紹介させていただきたいと思います。

●キャリアデザイン
大学で「キャリアデザイン」というと、就職のため、というイメージをお持ちではないでしょうか。
でも、就活のための技法を教えるわけではありません。就職指導とも違います。(それは学科の先生がちゃんとやっていると思います。)
今の時代、就職がゴール、とは言えません。終身雇用、年功序列で、会社がキャリアを考えてくれる、なんていう時代ではないのは当然として、入社3年までに3割が辞めるという早期離職の問題、中高年者のリストラなど、本人が希望していたとしても、1つの会社、1つの職場で一生勤め上げる、というのは困難な時代です。
自分自身でキャリアを設計していく能力が必要なのです。
自分を理解し、社会・業界・会社を理解し、将来、自分がどうなりたいのか、「キャリアデザイン」について考えることが重要なのです。
という、わたしも学生のときに、明確に、キャリアについて考えて、就職したわけではありません。また、考えていた、としても、現在のわたしを想像することは出来なかった、と思います。でも、それでも、いいのです。一度描いた「キャリアデザイン」は絶対的なものではありません。都度、見直していけばいいのです。
講義を受ける学生たちの多くはまだ2年生。仕事、キャリア、というものを、実感として捉えることは難しいかも知れませんが、将来の自分をきちんと考えてみるキッカケにして欲しいと思います。

●情報科教育法
これは、高校の「情報」の先生になるための、教職課程の科目です。
高校で「情報」という授業があることを知らない人も多いと思います。知ってはいても、「どんなことが、そこで教えられているのか分からない」といった人も多いのではないでしょうか。
  • 子供に、WordやExcelを教えても、彼らが大人になる頃にはUIが変わってしまっているから意味がない

とか、

  • 情報リテラシーなんて、教えられる(押し付けられる)ことじゃなく、失敗しながら自ら学ぶことだ
なんて、批判的な声もあるようです。
でも、それは、たぶん、この「情報」で何を教えるのか、目的が分かっていない人の意見だと思います。
これだけの「情報社会」なのですから、それについて、何も教えない方が不自然です。
自己学習で何とかなるようなレベルでもありませんし、家庭で教えられる範囲では収まりません。
それなのに、高校の「情報」の教科に対して批判的な意見が出てきてしまうのは、「情報」の専任の先生が少く、他の教科の先生が兼任で担当され、自分の教えられることを教えている、という状況があるのではないかと思います。
普通教科の「情報」の科目には、情報活用の実践といった点を中心とした「情報A」、情報の科学的な理解に重点を置いた「情報B」、情報社会に参画する態度を育てる「情報C」と3つの科目があったのですが、実際には「情報A」しか採択していない高校が多かったそうです。
今年度からは、新しい学習指導要領が実施され、「情報B」が「情報の科学」、「情報C」が「社会と情報」に生まれ変わり、「情報A」に相当する科目はなくなりました。(「情報活用の実践」が軽視されたのではなく、義務教育と、それで足りない分は新しい2科目に含まれています。)
このことによって、生徒が、自身の能力・適正、興味・関心、進路希望によって、「情報の科学」あるいは「社会と情報」を選択できるようになることも期待されています。
「情報」の授業を教えるのは、難しいと思います。
技術的な移り変わりが激しいこともそうですが、社会と情報の関わり(依存度、問題点)なども、そのときどきで変わります。教師は、「情報」に関する基本スキル、リテラシーを常に更新し、またそれに対応した指導力を身に付けなくてはいけません。そのためには、「情報」で何を教えるのか、「情報教育が目指すもの」をしっかりと理解する必要があります。それがないと、教えられることを教える、ということに成りかねません。
教科・科目の目的をしっかりと理解し、自ら必要と思うスキルを習得し、指導力を高めていく、そんな先生になって欲しいと思います。

●コンピュータ演習
この科目は、わたしの出身学科「数理情報工学科」ではなく、お隣の学科「マネジメント工学科」になります。
わたしの出身学科では、ITに関する授業は、たくさんありますが、「マネジメント工学科」のビジネスコースの学生にとっては、この「コンピュータ演習」が唯一のIT系授業です。
HTML、Exel(関数中心)、c言語を、前期・後期で、教えます。
教えたいことは沢山あるのですが、難しくてトラウマになっては意味がありません。
今までコンピューターにあまり触れたことのない生徒でも興味を持ってもらえるようにしたい、と思ってます。

●技術者倫理
短期大学部では、いままで「倫理学」の先生方が教えていたそうですが、カリキュラムの改訂で、教養系の科目から、「実務経験者による実践的な授業内容」という位置づけに変更され、お声かけいただきました。
「倫理」というと、善悪、道徳、といった感じがしてしまうのですが、技術者倫理で取り扱う事件や事故は、単純に善悪では解決できません。マスコミは、インパクトのためか単純な構図を好んで描きたがり、また一般的にも、複雑な問題をシンプルな問題に置き換えて(実は思考停止に陥っているだけで)解決しようとする傾向が強いようですが、事実は、そう簡単ではありません。人気アニメ「ワンピース」のような勧善懲悪で済む話では無いのです。
事故を起こそうと思っていなくても、「危ない」と気づく「リスク感性」が足りなければ、対策を講じることができず、事故が起きてしまうかも知れません。事故をひどくしてやろうと、考えていなくても、日頃から危機管理を意識していなければ、いざというとき、適切な対処が取れません。
これらは、勧善懲悪の問題ではなく、リスクやリスクマネジメントの問題です。
また、将来の技術者として「技術者倫理」が必要、というだけではありません。
自分の専門分野以外では、誰もが、専門知識を持たないまま科学技術の恩恵や影響を受ける「公衆」でもあります。
その「公衆」として、大切な考え方が「技術者倫理」では、取り上げられています。
  • 技術に完全はなく、どんなに万全をつくしても、リスクはゼロにならないこと
  • どの程度のリスクなら受け入れられるのか、リスク対策の費用や、科学技術の効果(恩恵)のバランスで考えること
  • 安全なものか危険なものか、の2択ではなく、リスクを定量的な数値で考え、受け入れ可能な数値は、当事者間の合意で決めること
この考えがなく、リスクゼロを単純に求めてしまうと、原子力発電所の絶対安全神話のような馬鹿げた話になり、きちんとした情報が公開されず、どんなリスクがあるのか知ることなく、受け入れるか、拒否するかの2択になってしまいます。
将来の自分の専門で、最適な判断、行動ができるよう、また他分野の専門家に最善を求められるように、リスク、リスクマネジメントの知識を身に付けて欲しいと思います。
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