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中高生に必要な家庭でのソーシャルメディア教育

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先日、福岡市のNPO法人「子どもとメディア」が2月に発表した記事を見ました。子供が携帯電話やパソコン、電子ゲームなどに長時間、向かうことで心身に悪影響が及ぶ「メディア依存(中毒)」が問題化しているそうです。

福岡市内の小中高生を調査した結果、1割以上に「メディア依存」の疑いが確認され、全国的に広がっている可能性がある、とのこと。
睡眠不足で集中力が低下したり心理的に不安定になったりする恐れが指摘されています。

このようなことは、前々から言われていたと思いますが、今回の調査は、国を挙げて対策を進めている韓国の方法を使って実施した、とのこと。小学生の8.39%、中高生の10.20%にメディア依存の疑いがあったそうで、こうやって数字として突きつけられると、うーむ、と唸ってしまいます。中高生の子供を持つ親としては、身近で深刻な問題です。

我が家には、娘が二人います。中学生と高校生。まったく使わせないのもいかがなものか、とリビングで家のパソコンを使わせることがありますが、下の娘(中学生)も、上の娘(高校生)も、放って置けば、延々とネットを見続けています。

また、少し前ですが、電通PR(株式会社電通パブリックリレーションズ)が、「大学向けソーシャルメディアリスク対策プログラム」なるサービスを開始した、という話を聞きました。
TwitterやFacebook等で、モラルやリテラシーの欠如による不適切発言により、結果として大学のレピュテーションを著しく毀損する、いわゆる「炎上事例」を防ぐため、大学関係者および学生を対象に、ソーシャルメディア利用における危機管理に焦点を当てたプログラムを提供する、というものだそうです。

このようなサービスのニーズが大学にあるという背景には、中高生に対して、家庭で、インターネット、ソーシャルメディアの教育がきちんと出来ていない、という問題があるように思います。

中高生の親であるわたし達の世代は、学生時代にSNSはもちろん、携帯電話もありませんでした。
なので、「パパたちとは、時代が違うから」と言われると、ムッとしながらも、言葉に詰まってしまうことも多々あります。
IT業界でずっと仕事をしてきて、TwitterやFacebookを利用しているわたしでも、そうなのですから、「エスエヌエス」、「ツイッター」と子供が発する言葉を、大人の思考を停止させるための呪文のように感じてしまう親御さんも多いと思います。
良く分からないので、「子供を信じて任せる」とか、あるいは、それとは逆に、「すべて禁止してしまう」とか、教育を放棄してしまうのではないでしょうか。

子供を取り巻く環境やコミュニケーションの仕方が変化しているのは確かですが、新しいものが出てきて、それを子共が使いたがり、大人が眉をひそめる、というのは、いつの時代でも同じです。
携帯電話、インターネットの普及で「変化したこと」に目を奪われることなく、大人はどっしりと、モラルやコミュニケーションの本質など、「不変なもの」をしっかりと教えていきたいものです。

我が家では、下の娘は、まだSNSは許されていません。携帯電話でのWeb閲覧も禁止。携帯メールも許されたのは、中学に上がってから、小学生の頃は制限付きでした。知識を身に付け、判断力、自制心がある程度育つまでは仕方ありません。わたしだって、子供の頃は、テレビを観る時間を決められていたし、奥さんは子供の頃、ドリフを禁止されていました。

上の娘は、一応、携帯電話でのWeb利用は許されています。ただし、パケ放題ではないので、かかったパケット料金はお小遣い負担です。彼女も工夫して、料金のかからない携帯メールを利用して、Twitterをやったりしています。そんな彼女も、夜、自分の部屋に携帯電話を持っていくのは禁止されています。「メディア依存」と診断されなくても、布団に携帯電話を持ち込んでのTwitterで、睡眠不足になってしまうのが明らかだからです。

ところが、先日、上の娘の布団の中から、携帯電話が出てきました。
当然、携帯電話は没収、当面、使用禁止です。
「えーっ、困るんだけど。(携帯)メールで、テスト範囲をもらうことになってるから」
上の娘は、何とか返してもらおうと、携帯電話の必要性を訴えます。
「そんなの、家の電話で、聞きなさい」
「テスト範囲、××ちゃんが、写真で撮ったのをもらうの。わたしは撮り忘れちゃって」
携帯のカメラでテスト範囲を写すなんて・・・、何ということでしょう。
「そんなことして、先生、何も言わないのか!?」
「うん。みんなやってるよ。どこの学校でも」
こっそりと、バレないようにやっているのかと思ったら、そうではないのです。
なんでも、テスト範囲のプリントを先生が一定期間貼り出し、それを生徒がパチパチと携帯のカメラで撮るそうです。
「何だそりゃ・・・」
「パパたちの頃とは、時代が違うんだよ」
頭がクラクラしてきます。
「そんなのメールじゃなくって、ノートに書き写させてもらえ」
と、そのときは、携帯電話を渡しませんでした。

その翌日、ある提案を胸に、上の娘がやってきました。
「あのさー、パパ。携帯電話、いつ返してくれる?」
「当分ダメ」
「あのー、ツイキンにするから。いいでしょ?」
「ツイキ・・・追試?」
テスト前から追試って、どういうこと?
「ツイキンだよ」
上の娘は呪文のような言葉を繰り返します。
「何だ、ツイキンって?」
「Twiter禁止するってこと。どうせテスト前だし」
おっ、と思いましたが、その日は、「考えておく」と返答を保留しました。

でも、答えは決まっています。
わたしは、娘に、インターネット、ソーシャルメディアを使わせたくないのではなく、TPOを考えたきちんとした使い方を覚えて欲しいのです。例え、携帯電話を返して欲しいから考え付いたことであっても、「試験前だから、Twiterをやってる場合じゃない」と娘自身が判断したことは、大切なことです。

次の日、携帯電話を上の娘に返しました。

まだ、試験中。「ツイキン」の効果が試験の結果に出れば、一石二鳥なのですが。

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