フリーのエンジニアとしての独立について考えました
大木さんのエントリー
「起業についてひと言、に加えて、ひと言、ふた言」
を拝見して、そうなんだよなー、と強く思いました。
わたし自身は、社長の経験はあっても、起業の経験は無いので、分不相応なテーマなのですが、独立したい、という相談は何度か受けたことがあるので、今回はそのことを書きたいと思います。
数年前ですが、エンジニアの独立がもてはやされた時期がありました。(わたしがそう感じただけかも知れませんが)
世間ではITエンジニアが枯渇している、と言われていた時期です。
この頃、特に、「会社を辞めて、フリーのプログラマ・SEとして独立、起業する」という話をよく聞きました。
フリーのITエンジニアとして独立すること自体は、初期投資もほとんど必要ないですし、お客様のところに常駐すれば事務所も不要なので、敷居は低いと思います。
また、数年前だと、今までのお客さんや、プロジェクトで一緒だったエンジニアから、営業活動などしなくても、直接、メールで仕事の話がどんどん来ましたので、大手企業に在籍している人なら兎も角、中小のソフトハウスのエンジニアは、営業や会社に頼らずとも、簡単に仕事が得られる、と思ったことでしょう。
自分の給与とお客様との契約単価を計算して、
「おー、これじゃ、倍じゃんか。直接契約してもらったら、少しディスカウントしても、年収大幅アップだ」
なんて考えしまう人も多かったと思います。
実際には、単価から単純に給与を引いた額が手にはいるわけではなく、会社が負担していた社保も自分で払わなくてはいけませんし、収入には税金もかかるんですけどね。
「パソコンとか買っても経費で落とせるし、だんぜん、独立した方がお得じゃんか」
なんて言う人もいました。
経費についていえば、サラリーマンは給与の収入に応じて所得控除があり、年収500万なら、154万にもなります。パソコンを買おうが買うまいが、です。
最近、一人社長や個人事業主の方々が求職活動をしている、という話を良く耳にします。
不景気なので仕事が少なく、生活が安定しない、ということなのですが、よくよく話を聞いて見ると、独立した後、数年は、独立する前からの仕事や人脈で仕事を回してもらえていても、その人が異動してしまうと、途端に、仕事がコンスタントに入らなくなってしまった、という訳です。これ、不景気だけの問題じゃないですね。
会社の寿命について、5年とか、3年とか、言われますが、独立する前に築いた関係で仕事をもらっていた相手が、担当をはずれたり、異動してしまったりするのが、そのくらいの周期なのではないでしょうか。
その間に、次の商流を見つけられるかどうか、が続けていけるかどうかのポイントのようにも思います。
でも、エンジニアとして、日々の激務をこなしながら、数年後のための営業活動も行うのは、並大抵のことでは無いと思います。
当社(BLUE BEANS)の社長は、10年前に、独立したエンジニアです。そのまま5年くらい一人でやっていました。
その後、採用を始め、いまでは、60名の社員を抱えています。
ここに至るまでは、相当な苦労があったと思います。
もちろん、今は今で、また課題があり、苦労しているわけですが。
大木さんも書かれていましたが、「社長」と呼ばれるのが夢、なんて想いだけで、起業はしないでくださいね。
「社長」という肩書きに、世間は冷たいです。
銀行、不動産屋、それまで、ニコニコで対応していた営業マンが、職業(役職)欄に「社長」と書くと、表情が一変してしまうのは、わたしにも経験があります。
「社長ですか、すごいですね」なんて言ってくれるのは、キャバクラのお姉ちゃんだけです。