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ラオ博士は太陽光エネルギーの夢を見るか

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(例によって^_^;)タイトルに深い意味はありません。「宇宙の太陽光をレーザー光に変換、地上へ 阪大など開発」(朝日新聞)によれば、宇宙空間で集めた太陽エネルギーを地上に送るための高性能レーザーの開発に成功したとのことです。別の記事では、「静止軌道に打ち上げた1つの人工衛星から出力100万キロワットの原子力発電所1基と同じエネルギーを送る」とあるのですが、はたしてどの程度現実性があるのでしょうか。

地球の大気圏外に届く太陽光エネルギーというのは決まっていて(太陽定数というそうです)、およそ1.37kW/㎡です。つまり、変換効率が42%ならば1,000,000kW÷1.37÷0.42=約170万㎡の太陽光を集めなければなりません(約1.3km×1.3km)。しかし、この記事には100~200mの反射鏡とありますから、200×200m=4万㎡だとしても4万×1.37×0.42=2.3万kWくらいの出力しか得られないということになります(地上に届いたエネルギーを100%利用したとしても)。この程度の出力のために過密な静止衛星軌道に割り込むということは、ちょっと考えにくいです。何しろ、「地表に届く太陽光が3割程度」(朝日新聞の記事)であるなら、宇宙空間の3倍強の反射鏡を地上(または海上)に造れば済む話で、宇宙に反射鏡を持っていくよりずっと安上がりでしょう。

……と思っているのですが、上記の記事の「はてブ」コメントを見ても、誰もその点に触れていません。私は何か計算間違いをしているのでしょうか^_^; これが発表されたという応用物理学会の事後レポートが知りたいものです。

開発された高性能レーザー技術そのものは、何かに役立つことを期待します。

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