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拡大解釈とフェアユース

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厳罰化で困るのは誰か?」についたコメントやトラックバックで思い出したトピックがあります(例によって^_^;出典を忘れてしまいましたが)。かつての地下鉄サリン事件、犯罪の低年齢化や凶悪化といった報道はありますが、まだまだ日本は治安がよいと言えるでしょう。たとえば、ときどき見かける新聞の無人販売などは、アメリカ(とくに都市部)では考えられない手法です。ほとんど人がルールを守る国民性があるのだと思います。

もうひとつは、もっと具体的な話です。青森かどこかから東京までトラックでリンゴを売りに来た人がいました。「味見は無料」と書いた看板を出していたのですが、小用でその場を離れた隙に「味見は無料なのだ」とリンゴを持ち去ってしまう人が続出し、戻ってきたときには棚が空っぽになっていたという話があるそうです。同じ状況で常にそうなるとは言えませんが、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」よろしく、いったん拡大解釈に火がつくと「そんなことをしたら売主が困る」という理性的な考えが抜け落ちてしまう国民性もあるようです。匿名性(誰が盗ったかわからない)、かつ、拡大解釈による言い訳が可能(バレても「味見のためだった」と理由づけできる)という点では、よくあるブログの炎上などに通じるようにも感じます。

先のエントリのトラックバックでは、メールで歌詞を引用することすら著作権侵害だとする JASRAC の回答に批判的なコメントがありました。これはしかし、権利団体として“解釈”を聞かれたらそう答えるしかないように思います。もし、「一部なら問題ないでしょう」といった回答をしたら「ほとんど全部」であっても「一部だ」と拡大解釈する人が出てきそうです。何しろ、YouTube への著作権侵害動画の登録にしても「引用として認めてはどうか」と主張した人がいるくらいです(当然、YouTube 自身は、こうしたコンテンツの登録は不正とみなしている)。

また、現実の規制や取締りが物凄いかというと、必ずしもそうではないように思います。検索エンジンのキャッシュサーバーを日本に置くために著作権法改正が検討されているという件についても、“国”が行う活動(いわゆる日の丸検索エンジン)のために必要だったというだけではないでしょうか。運営主体が米国であるならともかく、サーバーを海外に移すだけで国内法の適用を免れられるとしたら、法律をザル化するように思います。また、excite のキャッシュサーバー(excite-cache.jp)は日本に設置されていますが、著作権侵害で問題になったという話は聞きません。しかし、これが容認されているとしても、「キャッシュだ」と主張しつつ明らかな不正コピーサイトが登場してきたとしたら、訴えられる可能性はあるでしょう(ちなみに、著作権法を改正するなら個人的には Wayback Machine(archive.org)が実現できるくらいに許容してほしいと思います)。

こうした拡大解釈体質という国民性(?)が改まらない限り、フェアユースという節度を前提にした仕組みの導入は難しいのかもしれません。

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