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ITが無いと生きていけないのに、アナログな日々

散歩がてら、記憶と時間を巡って

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京橋のギャラリーで開催されている個展を訪ねました。加藤雄太展-記憶と時間を巡って-という展覧会です。

加藤さんの個展に足を運ぶのは三回目。プライベートのブログが同じプロバイダーだった縁で何度もコメントをしあったりしていましたが、二年前に彼の個展に初めて伺いました。

僕も美術は好きなので、行く度に美術談義で話し込んでしまいます。今日も1時間ほどいましたかしら?

彼の絵には、共通のモチーフがあります。空と丘とその上に建つ家です。初めて伺った時は、その3つのモチーフは、明確な線で別れており、それぞれが独立したものでした。二回目に伺った時は、それが揺らぎ始め、景色として見ていたものが、まるで脳みそのどこかにある心象風景のように思えました。岩絵の具を使った色使いも深遠な世界を構築していました。

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三回目の今日、モチーフは過去のものと同じながら、揺らいでいた風景は、今度は、互いに滲み始め、絵によっては、空と丘と家の区別ができないばかりか、それぞれが違ったもののようにも見えました。家は池に落ちて滲んだ月のよう、丘も中心に集約され別の何かになろうとしているようでした。

彼自身好きだと言っているマーク・ロスコをふと思いおこします。キャンバスに岩絵の具で描かれているのに、和紙に滲む墨のような独特な空間が広がっていました。

自身の心の中にある湖面に映った景色のような、彼の絵には不思議な魅力があります。同じモチーフだけど、見る度に変化しています。次に会う時には、どんな絵になっているのか楽しみです。

ブログを書いていなかったらおそらく知り合いになっていなかったと思うので、つくづくネットって不思議だなあと思う今日この頃です。

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