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デンソーが導入するIoTの特徴

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IoT2.jpgのサムネイル画像自動車部品メーカーとしては独ボッシュに次いで世界第2位の位置にいるデンソーが、IoTの導入に舵を切っていきます。

ドイツ勢がいち早くIoTの導入を打ち出してから、少し遅れて動き出そうとしているデンソーですが、実は準備には10年以上も前から取り組んできたと言います。今後3年くらいで導入までこぎつける計画を持っています。

具体的には、設備の稼働状況などを瞬時に把握し分析して、生産性を30%向上させるという腹づもりです。

ここからが日本の企業らしい発想ですが、デンソーの導入するIoTの特徴として、ドイツ勢のIoTが工場の完全自動化・無人化(究極的には)を目指しているのに対して、あくまで現場を重視するという思想からIoTの導入で故障をいち早く見つけて修復することによって、人間が考える時間をより多く作って上げるために無駄を省くことを目的としている点です。

つまり、現場から人間が消えて居なくなるというドイツ式は想定しておらず、人間に優しいIoTを目指している、とでも言い換えることができるのでしょうか。

「AI(人工知能)の活用によってビッグデータを解析すればヒトの知恵や経験値を超えられるとは思っていない。IoTによりAIに負けない現場をつくる・・デンソー有馬社長談16.7.3日経新聞朝刊より」との意向を同社トップは持っているのです。

いずれにしても、一方で懸念されているAIやIoTなどの次世代テクノロジーの利活用でヒト減らしが加速する、という点に対して、真っ向から不安を打ち消して十分に配慮された、いかにも国内企業らしい思いやりに満ちた考え方が筆者には特に印象的だったのでした。

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