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技術で勝って、商売で負けていませんか?

「すり合わせ」する力は強みとなるか?

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automobile_factory.jpgのサムネイル画像日本の製造業について語られる場合、強みとしてよく登場するワードが「すり合わせ」です。

その名のとおり、複数の部門の担当者が何回も打ち合わせを重ねて、チームワークでモノ作りを進めていく様子を表した言葉です。
言い換えれば、"調整・交渉業務"とも呼べるのかもしれません。

製造業については、拙稿でも繰り返しテーマと扱って書いてきましたが、近年において急速に進むグローバル経済の中で、この強みは生きていくのでしょうか?

この点については、有識者が寄稿していましたので、ご紹介したいと思います。(一橋大学の冨浦英一教授より。15.12.31日経新聞の経済教室)

「グローバル展開した企業は生産性の面で特徴的なだけではない。筆者らの別の研究によると、同じ海外へのアウトソーシングでも、他の日本企業が保有する海外子会社に発注する企業に比べ、日系でない外国企業に発注する企業では、全従業員のうち国際部門に割かれる社員の割合が多い。」

「この差は、日本企業にとって国境を越えて遠隔地と取引する障壁よりも、日本語あるいは日本企業に暗黙に共有されているビジネス慣行を前提とできない異文化の企業との取引が負担になっていることを示唆する。」

「製造関連業務の輸出が大幅に減少した一方で、数学、科学、問題解決、基本システムに関する思考関連業務も微減で、財務を含む資源の管理業務は横ばいだった。」

「しかし、他者との調整、交渉、説得、奉仕・配慮といった社会的業務の輸出は増えている。製造関連業務は、発展途上国の低賃金労働者とAI・ロボットに挟み撃ちされており、単純作業だけでなく高度な技能を要する業務を含めても日本からの製造業務の純輸出は目立って減少している。」

「この試算結果はモノの純輸出額自体が減る中にあって、対人関係をチームワーク的に丁寧に調整する業務は、我が国が輸出を伸ばしている分野であることを示している。」

以上のように、同教授によると業務量(人数換算)でみた我が国製造業の純輸出(1995〜2005年)が目に見えて減少してきている、という危機的な状況を理解した上で、今後はどのような強みを生かしてグローバル競争に対峙していくのかについて、「すり合わせ」という日本特有の仕事のやり方が十分に世界で通用していくのだということがわかったのです。

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