サイボウズのワーママ動画「大丈夫」の夫とその上司に物申す
オルタナティブブログの中でも、サイボウズのワークスタイルムービー「大丈夫」の動画について盛り上がっていますね。
サイボウズの野水さん、大里さん、大木さんのエントリは、なるほどと思いながら楽しく読ませていただきましたが、中でも、田中淳子さんの書かれていることが私の意見に近いと感じました。
私自身、ワーキングマザーとして共感できる部分はおおいにあったのですが、でもひっかかるんです、とっても。
以下、女性のセリフ。
「送り迎えは私がするっていつ決まったんだっけ」
「今日の会議は結構大事だったし、明日までにやらなくちゃいけないこともあって」
「明日の朝に病院に行かなくっちゃ」
「明日は絶対休めないし」
「病児保育予約できるといいんだけど・・・そしたらお弁当つくらなきゃか」
「てことは、今日もまた寝れないな」
画像と彼女のセリフから類推するに、この女性は企業で男性と対等に働いていて、重要な業務にも携わっていますよね。
なのに、今回の急なお迎えはともかくとして、「①明日の朝病院に連れていく」「②病児保育の予約をする」「③お弁当つくる」という育児にまつわるTo Doが全て当たり前のように彼女のタスクになっている。彼女は早退した分の仕事を持ち帰りつつ、夜寝る時間も削らなくてはならない。
私はこれを見た時、心の中で「夫、ふざけんな」って思いました。
毎日の送り・迎えに加えて、こういった緊急時に出てくるタスクの何ひとつできないわけ?
これじゃあ、この女性はシングルマザーなのと変わらないじゃない!
長時間労働ばっかしちゃって、そもそもあんた非効率で仕事できないダメ男じゃないの?
しかも家のことさえ戦力にならないんじゃ、お前なんて無価値じゃー!父親失格じゃー!
と怒り心頭なわけです(笑)。
私は、会社の中で、女性リーダーシップを推進するボランティアグループでも活動しているわけですが、社内外でいろいろなセミナーをやったり出席したりしているとすごく思うのは、夫のサポートが非常に重要だということ。
別に家事・育児を完璧に半分ずつにしろ、と言ってるわけではないです。夫婦によって、仕事の制約やフレキシビリティ、得意不得意、キャリア志向や給料などいろいろ勘案して、30対70でも60対40でも、いいバランスを見つければいいんだと思うのです。
大事なのは、まずは対等な人間対人間として、タスクを全部テーブルに乗せた上で、きちんと話し合って、ベストバランスを見つけるということ。
私の印象では、家事育児の全てのタスクが最初から全部女性側のテーブルに乗っかっていて、そこから一つ二つを男性がつまむ程度、な夫婦がまだまだ多いのではないかと思っています。(そしてちょっとつまんだだけでイクメンに認定)
なので、この動画を見て、動画の「夫」に物申したい、と思ったわけです。
ただ、夫だけを責められないのは、やはり、社会や会社の中で、依然として、長時間労働推奨、家事・育児は奥さん主導であるべき、という価値観が圧倒的だと思うからです。だから、夫の上司にも物申す。あなたが部下を適切に家に返せないことが女性活躍を阻んでいる現況なんですよ。
2020年までに30%の役員を女性に!という掛け声のもと、社内の女性社員にもっと活躍してもらおう、女性のリーダー、おおいに結構、と言ってても、こういった女性たちが活躍するために家事育児を分担するイクメン男性は自社の社員ではあって欲しくない、と本音では思っているマネジメント層って結構多いんじゃないかと思います。
ぜひ、今回の動画を見て、男性も変わらなきゃ、って男性(特にマネジメント層)に思ってもらいたいと思いました。
最後に、今回の動画ですが、こういった動画というのは、常に感情的な部分や多様な価値観が絡んで、賛否両論、当然批判的な意見も受けるということはわかっていたはずです。それでも、動画をつくって発信したサイボウズさんには敬意を表したいと思います。
「Lean In」を書いたシェリル・サンドバーグも、あれだけ過激なことを書いて、当然叩かれることはわかっていたけれど、それでも、まずは人々の間で議論をまき起こすことが大事、だからそのためにあえて書いた、と言ってました。
30代、20代、と共働きが当たり前の世代がどんどん増えていきますので、この問題については、他人事ではなく、今後もおおいにみんなで議論していければいいなと思います。