私にチームワークの教訓を与えてくれた出来事
最近よくチームワークについて考えています。
どうしたら1+1+1+1+1が5でも5以下でもなく、100にすることができるか、について日々考えています。
そしてそれは、私がボストンのインターナショナルなMBAプログラムで、チームワークということを徹底的に学び、経験してきたことが大きいです。
今でも強烈に覚えていて私の教訓となっている出来事があります。
それは、ビジネススクールの最初のオリエンテーションの後すぐあった、1日がかりのOutward Bound、というプログラムでのこと。
これについては、よく探したら当時もブログに書いていました。(「チームワークのスキルとは」2008/09/04)
まだ出会ったばからの多国籍チームで、色々な課題に取り組んでいきます。
課題には、特別な知識が必要ではなく、ボールをいかに早くまわすか、とか、全員で目隠しして目的場所にたどり着くものとか、決められた予算でいかだを作るものとか、限られた時間の中で全員の協力とアイディア、モチベーションが鍵になる、それでいて楽しいものばかりでした。
各チームには、課題を出し、監督する専門の人が1人いるのですが、彼女は、課題を説明した後は、一切黙ってあとはチームでの動きを粒さに観察しているだけです。
最後に、その監督から言われた言葉が私に衝撃をもたらしました。細かい背景は忘れましたが、だいたいこのようなことでした。
とあるゲームの最中。各々がああだ、こうだ、と意見を言い合った後、「とりあえずやってみよう」の誰かの掛け声でまずやってみる。で、もっといい方法はないかをまた見直す。そんなことの繰り返しの中、ある男の子が言った提案に最終的にみんな「いいね」となって合意し、それを実践して時間が来て終了。なんとなく、満足感を持っていた私たちにその人は言いました。
「最後にD君が言った提案と全く同じことを、20分も前にLさんが言っていたのに気づいていた人いる?」
衝撃でした。
私はみんなが意見を出し合い、チームとして最高の結果を出した、と信じていたからです。
Lさんは、中国人の女性で、全体的に地味で、英語がとても聞き取りにくく、高校生だとしたら、クラスで全く目立たないタイプ。
一方、D君は英語ネイティブでかっこよくて、服装もイケてて、フレンドリーで、みんなに好かれる人気者タイプ。
会って間もない私たちは、知らず知らずのうちに、見た目や英語力だけで、Lさんを軽く扱い、彼女の話にちゃんと耳を傾けていなかったのです。彼女の話に真摯に耳を傾けなかったことによって、本来あったはずのチームのポテンシャルからして20分もロスしていたのです。
その後、学校生活が進んで行くにつれて、Lさんは数学や統計学の分野で、誰もが適わない天才的な能力を持っていることも判明しました。
私はそれ以来、全ての人が持っているであろうその人にしかない強みを発揮させることこそが、チームリーダーにとって最も大事なことだと考えるようになりました。様々な得意分野と苦手分野を持った人が、その得意分野を出し合うことによって、また、みんながそれを奨励し、認め合うことによってこそ、チームとして最高のパフォーマンスが出せるのだと思います。
あなたの会社にも、チームにも、Lさんはいませんか?
耳を傾けないことによって、力を100%発揮させていないことによって、失っているものはありませんか?