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40代で同人デビューしてしまった著者がその現場を体験しつつ腐女子を自認する立場で観察する幻の腐女子市場(マーケット)。はたしてそこに市場はあるのか、ないのか。デビューは10代が当たり前なコミケの現場などで突き当たる難問に頭を悩ませ、時に大失敗しつつの体験談を含めた、観察ブログ。

腐女子とはオプションである

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「オタク」の中に「腐女子」は含まれるが、

「腐女子」の中に女の「オタク」は含まれない。

腐女子は、女オタクのオプションである。

 

「オタク」という概念が広く行き渡り、

ファッションオタクとか、スポーツオタク、

健康オタクに歴史オタク、等等、

あらゆる種類のオタクが存在するようになった現在、

オタク回路も普通の人々についたオプションであり、

(食玩のようにオプションのほうが本体より比重が高い場合が多いが)

さらにそのオプションとして腐女子という回路がある、

というのが現時点での私の認識だ。

 

先ごろジェイムズ・ティプトリー・Jr.賞を受賞した

漫画家のよしながふみが

対談集「あの人とここだけのおしゃべり」で

「バイリンガルのようなもの」

と表現した腐女子回路。

思考するさいの言語の差が違う物語を紡ぎだす、

といった作用をする。

あるいは「フィルター」のようなもので、

そのフィルターがある人は

物事を、2通り以上に見ることができる、

というだけのことだ。

同じカメラで撮った風景が

フィルターによって、鮮明に見えたり、

セピアがかって見えたりするのと同じである、

とお考えいただきたい。

 

「腐女子」をターゲットにした市場があるのかどうか?

という問題に、現時点で答えるなら

「そこに市場はない」だ。

そこには際限なく細分化された嗜好があるだけで、

マスとしてのマーケット(市場)はない。

腐女子の外側からそこに何かを売りたい人々は

そこのところを誤解している。

たまさか何かがヒットしたとして、

それは単に

「それを嗜好する人がちょっと多かった」

もしくは

「多数の嗜好を内包していた」

というだけのことにすぎない、と思う。

 

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