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40代で同人デビューしてしまった著者がその現場を体験しつつ腐女子を自認する立場で観察する幻の腐女子市場(マーケット)。はたしてそこに市場はあるのか、ないのか。デビューは10代が当たり前なコミケの現場などで突き当たる難問に頭を悩ませ、時に大失敗しつつの体験談を含めた、観察ブログ。

私もコミケで売ってみた~その1~

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ブログの再開にあたり、
順番は前後するが夏コミの話をしよう。

 

8月13日金曜日、仏滅
コミックマーケット78の初日だ。


6月に抽選でサークル参加が決まった日から、
この日を目指して脳内も身体も実に忙しかった。
特に脳内は妄想物語世界の中をさまよい続けている状況で、
同人作家の皆さんがいかにして社会生活を営んでいるのか、
リアルと妄想のバランスをどのようにとって日常を過ごしているのか、
ひとりひとりに聞いてみたいくらいだった。

前日の夜中までコピー本の手製本をしていた私は、
3時間ほど睡眠をとった後、カートを引いて家をでた。
初めて同人誌即売イベントに参加した春の時は
「カート」を所有しておらず、大井町駅でカート率の高さに驚愕したが、
その日の午後には「カートは必需品だ」ということを身体で理解したものだ。

朝8時、
国際展示場駅を出るとそこはすでにコミケ会場だった、
いや、国際展示場駅構内もコミケ仕様のポスターやのぼりで
大変に賑々しい状態だったから、ホームからすでにコミケ会場だったと言っていい。
駅を一歩出たところから、訓練されたコミケスタッフの誘導が始まる。
駅の隣のコンビニはボトルに萌え絵がプリントされた「痛茶」を扱い、
人気アニメのキャラクターのタペストリーが下がり、
何もかも全て、コミケ仕様である。
誘導にしたがって、ビッグサイト正面に向かうアーケードを歩いていると、
すでに「ここは最後尾です」の札を持った人が並んでいる...。
何事?と思いよく見ると公衆トイレの列である。
トイレの向こうには野戦病院のような光景が広がっていた。
確か徹夜はご法度だったように思うが、
いつから並んだらこれだけの人が集まるのだろうか、
という人数が座ったり寝っころがったりしつつ、
しかし、秩序だった様子で広い空間に待機している。

即売イベント3回目にして、
いわゆる「同人誌即売イベントの元祖Comic Market(通称コミケ)」
を経験することになったのだが、
今まで2回のイベントで見た長蛇の列をはるかに凌駕する光景だ。
のんびりしているようで、どこか殺気立った朝の空気に身震いしつつ

「こういうイベントの初体験がコミケじゃなくて本当に良かった」

と、胸をなでおろした。

 

 

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