腐人の肖像「1」~夢中になったことがたまたま腐女子と呼ばれる範囲だっただけ~
この「腐人の肖像」では、腐女子(あるいは腐男子)や、
腐女子傾向のある方のインタビューをお送りしていきます。
30代半ばの彼女は、スレンダーで涼しげな外見の女性。
色白の肌に切れ長の眼が、日本人形を思わせる。
黒いカットソーにローライズのジーンズ、チャコールグレーのシャツジャケットをはおり、
中性的な印象があるタイプ。
性的な目覚めは小学生の頃、
父親の買っていた「モーニング」で「エロい」ものに触れる。
腐女子的な目覚めは「ウルトラマン」だったという。
光をエネルギーとするウルトラマンが
光を遮断された空間に監禁され、
弱っていく様をみて「もやっとした」。
さらに「もっといてこましたれ!」と思った。
テレビアニメ「魔神英雄伝ワタル」で、少年に「萌え」、ショタという言葉を覚えた。
しかしその後、
菊池秀行の「マン・サーチャー・シリーズ」に出会い、
その登場人物であるところの、秋せつらに「萌え」、
内なる衝動を感じるものの、それが何かは解らないでいたところ、
同人誌というものに出会い、
「私の感じているこの衝動をカタチにしてもいいんだ!」
と創作活動を始める。
二次創作デビューは二十歳の頃、
「ファイナルファンタジー7」のセフィロス萌えから。
「二次創作をやり始めて、10年はセフィロスで描いてたのかな。
出した本はこのっくらいにはなりますよ。
(と、5~60センチの幅を手ぶりで示す
同人誌1冊あたりの平均的な背幅は3~4ミリくらい)
セフィロスというのは、
もうすっごい強くて、誰も敵わないキャラなんです。
その世界での絶対的力というか、そういうキャラ。
絶対的父性とか、世界を支配する神すら手中にしたい!
という衝動があるんですよね。
だから攻めもそれなりに強いけど、ヘタレな感じのヘタレ攻め(※)、
リバ(※)もオッケーです、というか基本リバです」
という彼女もまた、きっと誰かにとっての「神様」なんだろう。
そんな彼女は、父親との関係が良好とはいえない。
彼女の父は時には手も出るような厳しい人で、
無条件で可愛がられたという記憶は薄い。
そういったこともあってか、
「自分は男性からは好かれない」という思い込みを抱いている。
男性経験は乏しく、女性の恋人を持ったことがあり、
その女性との付き合いの中で、性的行為に及んだことはあるが、
どうもしっくりこなかったらしい。
「自分はヘテロセクシャルだと思う」と語る彼女は、
レズとヘテロの間を放浪しながら、腐女子でもある。
恋人ができたら、腐女子ではなくなると思うか聞いたら、
「それはそうなってみないと解らないかも」
という答えが返ってきた。
最後に
腐女子であることについてはどう思うかも聞いてみた。
「みんな何かに夢中だったり偏愛していたりするけど、
自分はたまたまそれが、腐女子と呼ばれる範囲だっただけ、
だと思います♪ 皆そうなんじゃないかなー」
※リバ BLのカップリングにおける受け攻めが固定していない、入れ替わり可能なこと。
※ヘタレ攻め 攻めキャラのほうがヘタレな場合。ダメなのに攻め、というギャップを楽しんだりできる。主導権を受けがとる場合、女王様受け、とか言ったりする。こういったカップリング論は、百家争鳴なので、異論反論ございましたら、どしどしコメントください。
※倉澤にインタビューされてもいい、という腐女子の方はコメント欄よりご連絡ください。コメントは非公開も可能です。