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ACCS久保田が著作権ほか普段感じていること

海外での著作権侵害対策も

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インターネットの時代になって、必要な情報にアクセスすることは以前に比べ格段に進歩して世界が狭くなったはずなのに、実は世の中が見えていないと思うことがあります。世界の動きであったり、世界の中の日本の立ち位置だったり。もっと現実を直接見て考えておかないと判断できない時代ではないかと、自省を込めて思うところです。

ACCSでは数年前からイタリアでの日本製ゲームソフトやアニメDVDの海賊版対策に取り組んでいます。昨年(2006年3月)には、ローマとミラノの海賊版販売店を現地警察が摘発しました。今年も2月にイタリアに行き、現地の著作権関連機関などと話し合いを持ってきました。はっきり言って、ゲームソフトやアニメDVD、マンガは海賊版だらけです。しかも、イタリアでは、これらの海賊版は正規版と同じ値段で売られています。さらに、海賊版にさえ、正規流通であることを示すシールが貼られている場合もあります。

イタリアについては、随分昔に、当時JASRAC理事長だった方から「街頭でギターを弾いている人も、著作権者団体に著作権使用料を支払いに行く」国だと聞いて、さすが文化立国は違う、と思っていました。この話が事実かどうか確認していませんが、実際に足を運んでみると、私の「思い込み」に反して、イタリアでは日本のデジタルコンテンツは海賊版だらけだったわけです。

世界中に流通する日本のコンテンツの著作権を保護するためには、国内だけを見ていては不十分です。ACCSでは、イタリアにおいては上記の通り、現地の団体と連携を取るべく話を進めています。中国では、上海に事務所を設けて情報収集を行っているほか、現地の法人や大学において著作権に関する講演やソフトウェア管理に関するセミナーを行っています。また、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)に参加し、政府や他団体と共同で海外での海賊版対策に関わっています。

日本の著作権管理団体・著作権保護団体は、国内での権利保護活動だけにとどまらず、海外における日本コンテンツの著作権保護にこれまで以上に踏み出さないといけない時代なのかも知れません。同じことは著作権者にも言えて、海外での権利侵害を嘆くだけではいけません。自分は海外とのビジネスは行うつもりがないという著作権者であっても、少なくとも、日本が生んだ文化であるマンガ、アニメ、ゲームソフト、音楽、映画などの著作物が海外でどのように扱われているか、実態に目を向けるべきだろうと思っています。


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著作権侵害

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