「Winny」を使った公衆送信権侵害事件について
ファイル交換ソフト「Winny」の利用者が本日5月18日、著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで、京都府警生活経済課ハイテク犯罪対策室と五条署によって逮捕されました。これにあわせて、マスコミ向けにコメントを発表したので、こちらにもアップしておきます。事件の詳細は、ACCS Webページ(http://www2.accsjp.or.jp/)をご覧ください。
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ファイル交換ソフト「Winny」は、ほとんどの場合、第三者が著作権を持つゲームやコミック、音楽、映画などの著作物を無断でやりとりする手段として悪用されていることは、ACCSなどが実施している「ファイル交換ソフト利用実態調査」の結果からも明らかになっています。本日、Winny利用者が著作権法違反で逮捕されたことは、Winnyによる侵害行為が蔓延している実態を改めて示したものであると考えます。
Winnyの「合法的な利用」に関して、自分で撮った写真や自分が作詞作曲した楽曲などをアップロードする利用があり得ることをもって正当化しようとする意見がありますが、前出のファイル交換ソフト利用実態調査を通じては、このような利用はごく少数にとどまっているものと考えます。さらに、現状のWinnyネットワークでは、参加するだけでファイルの断片を勝手に中継させられるという機能があることからも、完全な合法利用と言い切るのは無理があると考えます。
また、このような「合法利用」の「目的」の観点からも、現状では、多くの人に自分の作品を知って欲しい場合にはWebページやブログを使う方が合理的な選択であること、しかも、Winnyネットワーク上でファイルを入手するためにはファイル名によって検索しなければならず、著名性の低いファイルが活発にやりとりされる可能性は皆無に近いことから、現在のWinnyが合法利用にも役立つとの主張は、机上の空論と言わざるを得ないのです。
以上の理由から、ACCSは、Winny利用者に対し、Winnyは、そのネットワークに参加した時点で違法な送信行為に「加担」しているということを警告し、Winnyの利用をやめるよう求めます。
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発表コメントは以上ですが、Winny上で感染するウィルスによる情報漏洩の問題についても一言。暴露ウィルスをどう防ぐかといった議論がありますが、あえて極言すれば、このことは、他者の情報(著作権)を無断で利用しているパソコンから、自分が秘密にしたい情報だけは守りたいという「ご都合主義」的な態度だと言わざるを得ません。暴露ウィルス対策は情報セキュリティの観点から重要ですが、そもそもWinnyを使い続けること自体が問題なのだということに気づくべきだと思います。