講演の設計:10のチェックリスト
»
9/30の「@IT自分戦略研究所 MIX」で、「エンジニア2.0」という謎のタイトルでセッションを担当いたします。今週はその準備をしていたので、頭がホットなうちにチェックリストをまとめておきたいと思います。
項目は自然に思いついた順で、MECEでもなければ順序に論理性もありません。また自分で心がけていること以外に、本で読んだようなことや、素晴らしいスピーチを聞いて学んだことも含まれています。9の「緩急」などは、私はほとんど意識できませんが、講演の上手な方にはこれがありますよね。
この全てをクリアすることはできないでしょうが、ベストを尽くしますのでお楽しみに>申込をしてくださった方
- 聞き終わったあと、参加者はどのような気持ちになっているか?
要するに「目的を明確に」ということ。「明確に」という意味は、「受け手の立場から」「具体的に」ということ。(提案であれば、受け手に特定の行動を起こす気になってもらうことが目的となる)
- メッセージは「ひとこと」に集約できるか?
伝えたいことを象徴するキーワード(あるいは短い文章)を考える。それを繰り返し語る。例えば、あまり熱心でなかった受け手が半年後にこのプレゼンテーションを思い出してくれるとしたら、それはどの言葉によってだろうか?
- 「話の流れ」が見えるか?
提案や研修などであれば、話の組み立てを先に示し、いま話しているトピックと全体構造との関連を意識させるべき。
しかし講演やスピーチでは、必ずしもそれが最善でないケースもある(冒険物語を読むときに、先に全体構造を知りたいだろうか?常に残りページ数を意識させられたいだろうか?)。重要なのは「流れ」があること。目的に応じた「流れ」を作る。
- 一貫性があってこそアクセントが活きる
口調(文体)、フォントの種類とサイズ、色遣い、余白に一貫性を持たせる。ベースとなる一貫性があって初めて強調すべき情報が目立つようになる。
- スペース ― スライドでも話でも、「間」で語る
空間的なスペース: スライド上でのスペースの使い方は2通り。メッセージの周りに空白を確保し、読んでほしいメッセージを際だたせるため、そして「何かがあるべき場所が空白」であることを示し、受け手への問い掛けを作るため。
時間的なスペース: 喋りの「間」を意識する。注意を引きたいとき、メッセージを咀嚼して欲しいとき、「間」は最高のアテンションゲッター。
- 意味 ― 意味の薄いメッセージはそぎ落とす
その挿絵から何を読み取って欲しいのか?なぜ字が回転しながら登場してくるのか?しかも右回りで?その小咄にはどういう教訓があるのか?
- 「ひとつずつ」 ― 禁マルチタスク
スライドを読みながら話を聞きながら考えることは、誰にもできない。違うメッセージを同時に届けない。
- メッセージを繰り返す
7とは逆に、同じメッセージは複数のチャネルから、繰り返し届けてよい。スライドを読み上げることをよしとしない人もいるが、子育て経験のある人は「読み聞かせ」のパワーを思い出して欲しい。重要なメッセージなら「読み聞かせ」るべき。重要でないメッセージは6で落とされているのだから、全てのスライドを読み上げたっていいはずだ。
- 緩急 ― どう始まり、どう高まり、どう終わるか
静かな語りかけから始まり強い訴えで終わる。にぎやかに始まりしんみりと終わる。ユーモラスに始まりシリアスに終わる。脅かしで始まり励ましで終わる。
3の「流れ」に沿って設計できれば、高い効果がある。
- もてなしの心を、忘れない
大事なことは真剣に語ってよい。でも深刻ぶるのは逆効果。
ユーモアは大事。でも不得意なジョークを無理に入れる必要はない。
大事なのは、もてなしの心。「利休七則」は役に立つ。
(…まだまだありますね。聴衆とどうインタラクションをするか、姿勢・手振り・目線で何を気をつけるべきか…)
SpecialPR