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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

社員全員が有益な情報を持っているという誤解

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 情報共有すれば必ず何か良いことが起きるというのは間違いの続きになるが、他にもよくある間違いがある。それは「社員は皆、他の人に共有すれば役に立つ有益な情報を持っている」という誤解だ。実はこれを信じている人は多く、その誤解からとりあえず社内SNSさえ始めればなんとかなると思い込んでいる人は多い、

 たしかに社員はアイデアや情報を持っている。しかしそれが役に立つかどうかは別の話だ。例えば会社の営業力を高めるために社外人脈情報が重要だということがわかったとする。さてこの重要な社外人脈は誰が持っているのだろうか?この場合、新入社員や管理部門の社員がそれを持っている可能性は低いだろう。また特定業務プロセスを改善するアイデアを探すときに、その特定業務を知らない人がアイデアを出せることも稀だ。

 そう一つ前のエントリーと同じで、はじめに情報共有する目的があり次にそれに役に立つ情報が定義されるとその情報を持っていそうな人は特定されるはずなのだ。情報共有やコラボレーションを進めたいのならそういう情報を持っていそうな人をつつくことに注力すべきだ。ちなみに逆の言い方をすると、どんなすごい情報でもそれを欲していない人やそれに興味のない人にとってのそれは単なるノイズだ。本来的には必要な人が必要なときに情報を入手できる仕組みさえできれば、常に大勢がひっきりなしに情報を書きこむ必要はないはずだ。

 SNSや社内ミニブログを導入した後にあまりにもコミュニケーションが進まないのに苛立って、IDを配布した全員に何か書き込めだとか呟けだとか指示をし始める運営者は多いが、そうして無理やりなにかを吐き出させても組織としての効果に繋がりにくいのにはこういうことだ。情報共有の推進側は、漫然と情報共有を進めるのではなく何をどのように共有するかを良く考えて欲しい。

 ただし中には「組織内の風通しを良くする」「従来タバコ部屋や社員旅行などで行われていた社員間の非公式コミュニケーションを取り戻したい」といった目的のためにSNSやミニブログを活用することもある。こうした場合はどんな情報でもそこに吐き出すことが目的の達成につながるのでこの限りではない。

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