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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

情報共有すれば必ず何か良いことが起きるというのは間違い

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 新野さんがこっちのブログで紹介した「コラボレーションに関する5つの迷信、ガートナーが斬る」という記事が面白い。

 その中の特に「迷信2:コラボレーションは本質的によいことである。」には特に感じ入る。仕事柄組織内のコラボレーションや情報共有を進めたいという相談を良く受けるが、そのうちのだいたい半分は「とりあえず情報共有したら何か良いことが起きるだろう」という安易なもので、さらにそのうちの多くがどんな情報を共有するのか考えていない(あるいはわからない)というような状況だ。こういう状況でとりあえず社内Twitterを始めてみようなんて事が非常に多い。
 そしてたいがいそういった情報共有の試みは大抵にして数ヶ月で飽きられ何も効果を出さずに見捨てられていく。目的のないコラボレーションは何も生まないどころか、余計な仕事を増やすだけで害だとすら思う。

 情報共有を進めたいのであればいきなり始めたりツールに飛びつく前に、まずはゴールとしてどうなると良いのか、どういう状況になれば嬉しいのかを議論し書き出しておくことを薦める。そしてそのためにはどんな情報が必要なのか(あるいは今どんな情報が入手できなくて困っているのか)まで考えるのだ。
 ゴールは1つでなくても良い、むしろ沢山出しておいたほうが良い。大きなものと小さなものが混ざっていても良いし、仮説レベルで良い。その後にこのゴールと共有すべき情報をハンドリングしやすいツールや体制を考えてから実行にうつす。ツールの導入が始まったら、最初に書き出した情報を順に共有してみる。情報の性格によってツールにあったものとそうでないものがあるはずで、それを見極める。そして情報共有の結果(ゴール)が当初想定したものと近いかを検証する。情報共有してない状態では、情報共有後の姿というのは案外想像できてないもので、当初のゴール想定は結構外すものだ。
 そのときの風土や参加者のムード、ツールの性格などによっても情報共有の結果は変わる。だからこそ最初のゴール設定が複数あると良い。それで最後はやってみて、一番効果が出たものやしっくりいったものに焦点をあて、それを増やしたりサポートしたり、時には喧伝して情報共有の輪を広げていく。

 これまで何度も情報共有に関する相談を受けてきたが、こういう進め方がもっとも失敗が少ない。

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