ビジネスプロセス管理の失敗で会社が破綻する?
米Gartnerがちょっと衝撃的な調査結果を出した。「2011年から2014年末までに、簡単に把握できるのに見過ごされていたビジネス・プロセスの欠陥が10社のグローバル2000企業を倒産に追い込む」という予言だ。(参考記事:「お粗末なビジネス・プロセス管理が企業を倒産に追いやる?」)
ちょっと大げさかなぁとは思うが、多くの企業でビジネスプロセスの見直しが停滞している現状をみるとまったく当たらない予想だとも言い切れない。
昨年10月にアイティメディアがWebサイト上でビジネスプロセス改革に関するアンケート調査を行っていた。先日回答者にその調査結果のサマリーレポートが送られてきたのだが、その中でも8割の企業がビジネスプロセス改革を重要な課題として取り組むと回答した反面、全社レベルでのビジネスプロセス改革への取り組みを始めた企業は4分の1に留まる。
なぜだろうか。組織の中で永年揉まれてできあがってきたビジネスプロセスには利害関係者が多数存在する。例えばビジネスプロセスを見直して、ある作業を無くすとなるとそれは特定部門の仕事の削減に繋がりひいてはその部門の人員減、部門長ポスト減につながる。最近多くの組織でやり玉に挙がっている複雑になりすぎた監査や牽制のプロセスを減らそうとすると、リスク管理部門がコーポレートリスクの増大を指摘する(彼らは指摘するのが仕事なのだから指摘する事自体は正しい)
だからビジネスプロセスを改革するには相当の摩擦を覚悟する必要がある。多少の反発やコーポレートリスクの見直しには躊躇せずに踏み込むべきなのだが、そこまで出来る経営層は少ない。何より複数部門の利害調整をスムースに解決するにはトップの関与が不可欠なのだが、さすがにそこまでビジネスプロセス改革に意欲を持つトップはまだ少ない。
日本の場合調整型のトップが多いし特にこのことろの長い不景気では、何かをやると失敗して失脚するパターンのほうが多く次代を狙う層もあまり尖ったことをしたがらないのも影響していそうだ。
それでも気の利いた部門長クラスがトップを巻き込み、我々のような外部のコンサルタントを外圧や憎まれ役に使ってビジネスプロセス改革に取り組み始めている。ビジネスプロセス改革の成果は直ぐには出てきにくいが、この差はこの先ボディブローのように効いてくるのではないか。
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