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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

ワークフローを検討する際の留意点

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 今は不景気だが、その中でも伝票のデジタル化を行うワークフローシステムの導入については特に中堅企業から引き合いをいただくことが増えてきている。社内の業務を回すのに紙(伝票)は不可欠だが、それをイントラネットを使ってデジタル化して紙をなくすと共に業務の標準化を行おうというのだ。

 ところが多くのシステム部門の人はこういうワークフローの設計に慣れていないようで、この業務をデジタル化の際に大きな勘違いをしたままシステムを構築してしまう。私が過去にみた勘違いを以下に列挙してみよう。

  • これまでの業務のやり方をそのまま、何も見直しをせずにデジタル化・ワークフロー化する
    業務の見直しをせずにワークフロー化を行っても改善効果は限られる。
    また、長い年月のうちに社内で築き上げられた紙による業務処理手順に慣れていると案外不要だったり形骸化している手順を見落としがちです。ワークフローの導入を期に業務の棚卸しや見直しを行うべき。
  • ユーザが混乱しないようにと考え、現在の帳票を忠実に再現した入力画面を作成する
    紙の帳票レイアウトは、紙という媒体にあわせて最適化されたレイアウトであってそのままコンピュータの画面にして使いやすいとは言い切れない。
    また、精緻なレイアウトの再現にこだわりいくら視認性を上げたとしても、その為の開発コストを回収できるほどの業務改革効果は期待できない。
  • 全ての業務をデジタル化・ワークフロー化しようとする
    年に数回数件しか発生しないワークフローをコストをかけてシステム化してもコストを回収できる期待は低い。
    効果の見込める、回数や利用者の多い業務からワークフロー化すべき。
  • ネゴや根回し、特例処理といった従来の慣習を全否定して、全ての業務を標準化・統一する
    いくらワークフロー導入によって業務を標準化できるといっても、例外処理や特例処理はゼロにはできない。
    また組織風土上でネゴや根回しが重要な意味を持っており簡単には廃止できない組織では、その存在を踏まえた上での新業務フローとすべき。

 どれもこれも「業務のデジタル化」というキーワードに引っ張られすぎで根っこにある、なぜその業務を行う必要があるのかとかその業務の本来のあるべき姿は何かということをなおざりにしているところに原因がある。
 ワークフローに取り組むときには一度頭をリセットして業務の理想像を描くようにするべきだ。もし自分達だけでそれが出来ないのであれば、最初の部分だけでも業務改革の経験を持った外部のコンサルタントなどに相談してみると良い。

 なお、そもそもワークフロー化を行い間接業務などのデジタル化を実現するとどういうメリットがあるかについては以下の図を参照のこと。

 

20091007

 

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