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無いのなら、作ってしまえ、ブログのネタ

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 ブログを書こうとすると、書く内容のネタをどこから持ってくるかというのにぶち当たる。これは私だけでなくブロガー共通の課題なのだろう。先日オルタナティブ・ブロガーの集まりでちょっとこれについて話す機会があった。

 このネタさがしの方法にはいくつかあると思うが、その中で手軽に出来るのは例えばベンダーの新商品発表のプレスリリースやニュースに便乗して、それを紹介しつつ自分の意見や感想を付け加えていくやり方。サイト上のコラムや他の人のブログのエントリーを紹介しつつ持論を展開していくのも同じ種類だと言えるだろう。
 ネット上の多くのブロガー同様に私もこれまでにこうした形式で多くのエントリーを紡ぎ出してきた。一部では有名なニュースでもコミュニティが異なれば全然知られていないというケースはあるわけで、そういう意味でもニュースや記事の紹介というのは、スモールワールド論などでいう結節点(ハブ)やゲートキーパーの役割を果たす効果もあって、こういった情報を二次利用したエントリーを尻馬に乗っただけだとか冗長な作業と見なすのはちょっと間違っていると思う。

 だがしかしそれが判っていても、こうした情報の二次利用による紹介やコメント的エントリーばかりを書いていると時々ストレスが溜まってくる。「自分は何も生み出していない」「外に向けて自分発の新しいメッセージは何も発信していない」のではないかという思いに駆られるのだ。そう自分が右から左ブロガーである気がしてくるのだ。
 以前『ブログが死ぬとき』という非常にアクセス数を稼いだエントリーを書いたことがある。このエントリーなんて主題の殆ど丸ごとがオリジナルの『ブログはいつ死ぬのか、ウェブの噂も75日、光もともに運ばれて行く』という別のブログのエントリーから貰っただけのものだ。こういうのがアクセスを集めると嬉しい反面なにか心苦しくなる。

 こういった思いに駆られた私が、自分が最初の情報発信者になるために編み出したのが、データを収集・集計してその結果を報告するいうやり方である。ここで一番有名なのは『実名ブログの定点観測』シリーズだが、他にも『人々はべつやくメソッドを使って何を伝えようとしているのか?』とか『ブログ/SNSベンダーに「紺屋の白袴」と「坊主の不信心」あり』、最近だと『ニコニコ市場の可能性』なんてエントリーもこの手法を使ったものだ。
  
 すなわち、ネットの中で起きている事象や人々の行動パターンなどについてある程度のサンプルを集めてデータ集計を行い、それを元に何かを述べるようなエントリーを書くのである。こうしたデータも本来的には自分自身が何かを生み出したわけではなく他の人の行動を横から眺めたものだから、純粋な一次情報ではないと言われるかもしれないが、こうして自分で手間暇をかけて集計したデータはその時点では自分しか持っていないデータなので、このデータを使って何かを発言するのは自分が必ず一番目になる。これが前述した「自分は何も発信していないのでは?」というストレスの解消につながる。
 
 発言にあたっては集計後のデータもある程度は公開しておくと良い。そのデータを使ってさらに分析をつなげる人が現れたら、意見交換も進むのでそれによってさらにいくつかのエントリーを新規に書き起こすことが出来る。またこうしたデータ収集を継続的に実施すると、単なるポイントではなく時系列での推移といったこれまた継続するからこそ見えてきてネタにしやすい。
 
 この手法の唯一の欠点はエネルギーが必要なこと。集計対象に対して思い入れなどがないとこうした集計作業はなかなか続かない。できれば自分も読者もしばらくは強く興味を持てるような分野を収集・集計対象にすることをお奨めする。

※この「ネットの中で起きている事象や行動パターンをデータ集計して自分独自の情報発信を行う」手法は先日のオルタナティブ・ブロガーの会合で披露させていただいたもののひとつです。わりと好評で何人かの方の興味を惹かれたようなので、こうしてメソッド化てみました。

===2007/9/18 AM追記

 はてなブックマークで非常にタイムリー(?)な増田のエントリーを紹介して貰ったので本文に1行だけそれを追記。

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