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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

新野さんのエンタープライズサーチ進化普及論を読んで

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 このところエンタープライズサーチの話題が多い。当オルタナティブブログでも何人かのブロガーが話題として取り上げていらっしゃる。その中でも新野さんの「エンタープライズサーチは現在、AltaVistaのあたり?」「エンタープライズサーチの普及はタグ付けにありか?」にはかなり納得した。
 確かにエンタープライズサーチはネットサーチに比較すると発展途上である。ただし以前から何度か書いているようにネットサーチとエンタープライズサーチはそのターゲットがかなり違うので、私もネットとは違う順番で発展すると予測している。

 先日、あるイベントで(株)ジャストシステムの森システム技術部長のプレゼンを拝聴させていただいたところ、企業内でのユーザの検索ニーズを「探求検索」「既知情報検索」「全数調査」の3つに分類をされていた。これは簡単に言い換えると
・何か知りたい事を探す検索
・欲しいもののありかを捜すときの検索
・漏れがないことを知るための検索
 の3つがあるということになる。1番目と2番目で“さがす”という漢字が違うのがポイントである。森氏の分析にもあったが、1番目の「探す」は探す過程でも効果がある。検索を行なう過程のトライ&エラーの間に学習すること自体が問題解決になるのである。これに対して2つめの場合は、最終的目的物にたどり着かないと意味がない。なぜなら最初から答えがあることは知っていてそれがどこにあるのかを捜しているのだから。

 さてネットサーチとエンタープライズサーチの話に戻すが、ネットサーチの場合は1番目の「探す」という目的が大半ではないのだろうか?いまどきのCMで、「検索して調べてください」というのが良く出るがあれはまさに詳しく知るための検索行為へ誘導をしている。
 企業内におけるエンタープライズサーチの場合、「あれどこあったっけ?」とか「これって何の文書に書いてあったんだっけ?」といった2番目の「捜す」行為のほうの割合が多いのではないだろうか。(森氏の分類の3つめは若干特殊なケースだと思うのでここでは一旦無視した)
 もし「捜す」行為のほうが割合として多いのであれば、それを支援するためのツールとしては、全文検索よりもナビゲーション機能の充実(カテゴライズや全社情報マップの作成)のほうが有利な場合もありそうだ。新野さんの分類だと第1世代のディレクトリ型にあたるこれらのツールのほうが有効な可能性がある。

 また「探す」場合と「捜す」場合では、多分検索結果の表示にかかわる「重み付け」は異なると想像できる。私の考えるエンタープライズサーチでの「重み付け」のアイデアは過去のエントリーに書いたが、少なくとも現時点では、エンタープライズサーチではGoogleのPageRank万能説は否定したい。
 そして、この他にも一部企業内では「Q&Aコミュニティ(※)」と呼ばれる“知る”行為全般を支援するツールが既に導入されているケースもある。「探す」と「捜す」の両方を同じツールで解決する方向へ進んで行くのか、「探す」「捜す」「全件」のそれぞれを別のツールで提供するのが主流になるのかも今後見極めたい。
 
 ※Q&Aコミュニテイは新野さんの分類の5番目にある「質問に答える型」ともちょっと違うツールなのでいつか別途説明したい。

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