インサイトでFacebookページを活性化(3)施策の検討
前回までのおさらい
第1回・第2回のエントリでは、指標と目標値の設定方法について書きました。
○指標と目標値の設定、定点観測:
ファン数:ファン数を増やす
目標値設定:Webサイトへの流入数との関係や競合のファン数を調べ、「この期間でこのファン数を獲得する」という目標を設定する。
定点観測:Facebookページの「インサイト」機能からファン数の推移データを取り出し、次に獲得すべきファン数を算出する。
ファンのアクティブ率:Engagement Rateを目標値以上に保つ
目標値設定方法:平均値や競合の数値を参考にする。
定点観測:ERの他に、「ファン1人あたりのリアクション数」「1ポストあたりのリアクション数」も定点観測する。
インサイトでFacebookページを活性化(1)目標の設定:グラフカタリスト:ITmedia オルタナティブ・ブログ
インサイトでFacebookページを活性化(2)定点観測:グラフカタリスト:ITmedia オルタナティブ・ブログ
施策の検討
定点観測をしていくと、多くの場合、目標どおりに事態は進みません。もし左団扇で目標の数倍良い数字が出ていたら、それは目標設定の段階で重要な要素を見落としている可能性があります。どのみち何らかの検討は必要です。以下でそれぞれファンを増やすには、またERをあげるにはどのような施策が考えられるのか、検討していきます。
ファン数を増やす
ファン数は積み上げの数字です。基本的にはFacebookページの露出を増やせば、それに応じて増えていきます。
先日ちょっと話題になった「Facebookページのファンを増やす18の方法」も結局は露出ポイントとその露出回数増やせという話に終始しています。
ユーザーがファンになる経路はFacebookの中と外に分かれます。それぞれでファンを増やす手法を考えて見ます。
Facebook内
FacebookのなかでFacebookページを露出する、一番手軽な方法は広告です。広告の出稿とその分析手法については、 @ryuka さんのエントリが参考になります。正直予算があるならこれでよいでしょう。
Facebook広告はクリック率が低い?広告出稿&分析してみたので、手法と結果を公開します! - リアルアクセス解析
Facebookの外
とはいえそうそう金を突っ込める状況でないことも多々あります。そうしたときは、自社のWebサイトやサービスに「like box」を貼り付けて、露出を増やすなどが考えられます。またFacebookページを直接リンクする際は、bitly等、クリックカウント機能の付いた短縮URLサービスをはさんでおくことをお勧めします。効果測定の際、役立ちます。
○ERをあげる
Engagement Rateはファン数と違い積み上げの数字ではなく、割合なので、複数の数字が影響します。「ポストあたりのリアクション数」と「ファンあたりのリアクション数」の2つに分けて考えます。また最後にファン間のネットワーク最適化という考え方もご紹介します。
一人あたりのリアクションを上げる
ユーザー一人あたりのリアクションをあげるには、ポスト内容の最適化が必要です。一様にこうすれば良いというのは難しいのですが、以下のデータが役に立つかもしれません。Facebookページに投稿する際、自社の情報と自社以外の情報(時に競合の情報も含む)、どの程度バランスをとれば良いのか、という調査です。
the optimal balance for most companies is to link to your own content between 25-50% of the time, with 40% being the ideal mark.
「コンバージョンて何を指すの?」「業種別のデータは?」等々、突っ込みどころもいろいろあったりするのですが、結論としては「自社以外の情報も混ぜると良い」ということになっています。当たり前のように聞こえますが、意外に実践しているところは多くありません。
調査結果では特に言及していませんが、そのFacebookページが扱う(扱いうる)トピックと、それを取り巻く時勢の関係が重要だと思います。つまりコンテクストです。それは単に「流行りのトピックを採り上げる」ということだけではなく、そのFacebookページで過去に採り上げてきた情報から照らし合わせて、違和感がないかどうかも検討する必要があります。
1ポストあたりのリアクションを上げる
1ポストあたりのリアクションを上げるには、ポストするタイミングを最適化する必要があります。誰もファンが見ていない時間帯に更新しても、投稿は無駄打ちになります。Facebookページの投稿タイミングを最適化してくれるツールは、昨日エントリで紹介した「Timely」があります。
文章をボックスに書きこみ、「Add to Queue」ボタンを押すと、過去199ポストを分析し、最適なタイミングで投稿するよう、予約してくれます。予約された投稿は「Queued」タブにストックされ、投稿予定時間が表示されます。Twitterの場合はRTを分析していますが、Facebookはコメントやいいねといったリアクションを分析しているようです。
http://blogs.itmedia.co.jp/klov/2011/09/facebooktwitter-ef8d.html
ファン間ネットワークの構築
以下のエントリにも書きましたが、ニュースフィードのアルゴリズムでは、友人がリアクションしているかどうかもその人のニュースフィードに投稿が表示されるかどうかの決定要素になります(これが新しいニュースフィードだけなのか、もともとそういう仕様なのかは分かりません)。
Facebook 新ニュースフィードで何が変わるのか?:グラフカタリスト:ITmedia オルタナティブ・ブログ
一定の規模のソーシャルグラフを丸ごと囲い込んでファンにできれば、ベストです。しかしそう簡単には行きません。ここは逆にFacebookのファン同士を繋ぐことを考えた方がよさそうです。Facebookページに紐づいたイベントなどを行うことができれば、ファンの間で交流が発生し、ファン同士のネットワークが発生します。ファン同士のネットワークが構築されると、情報を受け取る速度も確度も上がるでしょう。Facebookページからの直接情報を受け取れなくても、友人経由で知る可能性が高まるからです。
ファンのネットワークを強化するという考え方については、以下のエントリにまとめました。
では実際にどのようにファンやフォロワー同士を繋げるのか? よくあるのはイベントです。メディアのようにセグメント化されたトピックの周りにコミュニティを作れる場合、オフ会やセミナーを開くことでユーザー間の繋がりが生まれ、距離は縮まります。また特定のテーマに沿ったCGMを作る例もよく見ます(失敗例もよく見ますが)。Twitterでは企業側が積極的にフォロワーの発言をチェックし、RTすることで、それを機にユーザー同士が結びつくケースも考えられます。
まとめ
○ファン数を増やす施策
基本方針:積み上げの数字なので露出を増やす
施策例:広告やLike Boxの設置、他のソーシャルメディアとの連携
○ERを上げる施策
基本方針:一人あたりのリアクションを上げる・1ポストあたりのリアクションを上げる・ファン間ネットワークを構築する
施策例:投稿内容の最適化・投稿タイミングの最適化・ネットワークの構築
活発なFacebookページを作るための手法について、目標の設定・定点観測・施策の検討と3段階に分けて検討しました。インサイトとタイトルに銘打っておきながらあまりインサイトを使っていませんが、結局のところ目標とそこに連なる指標を整理しておくことで、本当に必要なデータが分かります。
10月以降も、連載形式である程度大きなテーマを扱っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。