Javascriptベンチを取ってみた(May 2,2011)~Chrome 11とブラウザシェア~
Chrome 11 stableの発表とブラウザシェアの発表がありましたので、連投になりますがJavascriptベンチを行ってみます。
Javascriptベンチは、SunSpider 、V8 Benchmark Suite、Kraken、PeaceKeeperです。
測定したPCは、Phenom II X6 1090T BE(3.2GHz)、Radeon HD 6850、Windows 7 64bitです。SunSpider、Krakenは値が小さいほど優秀で、V8 Benchmark SuiteとPeaceKeeperは値が大きいほど優秀です。
前回から大きく変わるわけが無いのですが、SunspiderはFirefoxが、それ以外比較的重いベンチは、Chromeが優勢です。GPUや画像を大量に使っていないJavascriptエンジンに負荷をかけるベンチにおいてはv8は最速の部類と言えます。
Microsoftが提供するブラウザベンチ(IE 9 Test Drive)は、描画の方にシフトさせすぎているため、他のブラウザではほとんど計測ができないほどです(Safari系はほとんど動かない)。アピールとしては良いのですが、ベンチとしてはできはよくないと思います。テストを作るときに0点と100点(満点)を取らせないように作ると聞いたことがあります。なぜなら0点だとどこまでできないかわからないし、満点だとどこまできるのかわからないためです。0点と満点を取られると実質比較できないのです。
また、他者のブラウザとの差がある場合は、本当に正しいのかわかりません。例えば、V8 BenchMarkSuiteが出たときに、Chromeが圧勝でした。最初データを見たときに、あまりにもChromeが得意な方向に持っていきすぎではないかと思われました。それこそIE 9 Test Driveと同じように。ですが、Safari系が追随してたり、OperaやFirefoxもそこそこ速くなって来ました。これはV8 BenchMarkSuiteの方向性はある程度正しいと追随したわけです。
ですが、Microsoftのベンチは登場してから1年近く経ちましたが、あまりこの露骨なベンチ対応が他のブラウザでもそれほど速くなっていません。GPU対応がハードよりなため、他のブラウザメーカは苦手としたのかも知れませんが、改善の速度が緩やかです(Safari系はどうするんだろうか...)。そんな方向性はありえないと他のブラウザメーカからはコンセンサスを得ていないように思えなくもありません(真相は知りませんが)。
Krakenも最初登場したときにFirefox 4だけ速くて、露骨過ぎないかと思ったのですが、現在Chromeの方が速いため、Krakenのベンチの正しさはある程度は担保されたように思えます。
客観性があるベンチは存在しません。偏るため、全てのブラウザメーカはベンチを出すべきだと思います。Operaも出すのが良いでしょう。それらを比べて、ユーザが評価すれば良いです。IE 9向けのベンチもIE 9ユーザが最もよく使うと思えば、そのベンチマークはそのユーザには正しいのです。
話を変えてNetApplictaionsからブラウザシェアが公開されました。シェアの推移がわかるグラフにしてみました。
■ブラウザシェア(Jan'08 - Apr'11)
■ブラウザシェア先月差(Jan'08 - Apr'11)
(参考先:NetApplications)
一番驚いたのがSafariのシェアの拡大です。Safariは2007~2009年までは約1年に1%程度シェアを伸ばしてきました。2010年は少し多く1.4%を伸ばしていましたが、4月の時点でDec'10(5.87)から1.28%も増えて7.15%に到達しました。また先月シェアからは0.54%とSafariでは過去最高のシェア向上を果たしています。
Safariのシェア向上を担っているのは、iOSのブラウザ端末としてはシェア拡大でしょう。ほとんどがiPhoneだと思われますが、ここまで伸びるとは驚きです。年初にSafariのシェアを7%に到達と予想しましたが、4月の時点で達成されるとは...この勢いが持続するかわかりませんが、持続した場合ぎりぎり10%手前のシェアの可能性もあるかも知れません。ついでに、AndroidのブラウザもWebkit(Safari)換算されているように思えます。すでにv8エンジンを載せているので、Chromeを名乗らない(navigator.userAgentでChromeの名称を入れる)のはなにかあるのでしょうか。
上記のグラフのJavascriptベンチとブラウザシェアのデータは、公開しています。