ブロックチェーンが音声ネット産業を代表する時代になる
ブロックチェーンが音声ネット産業を代表する時代になる
音声反応式機器(スマートスピーカー)の使用頻度は、今日、非常に増加している。PullString and Rain Agency Researchの調査によると、アメリカでは、 4730万人(人口のおよそ5分の1)が現在Google HomeやAmazon Echo などのスマートスピーカーを所持している。
スマートスピーカーは音声基盤ネットワークへのアクセス手段として、最も人々に親しみのある手段となっている。Voicebot はPullStringとRAIN社と協力し、どのような人がスマートスピーカーを所持し、どの製品が好まれているか、またそれらの機器で何をしたいのかについての調査を、1057のアメリカ人を対象に実施した。それらの結果はPullString and RAIN 協賛の下、2018年Voicebotスマートスピーカー消費者報告書としてまとめられた。
調査の結果によると、19.7%もの成人アメリカ人がスマートスピーカーを所持しているという事実が判明した。その割合をアメリカ全人口に換算すると4730万人に及ぶ。スマートスピーカーを所持しない人々のコメントをもとにすると、2018年までに消費者はおよそ全体の50%にまで膨れ上がると算出される。スマートスピーカーは"もの"同士がつながりあい、コントロールしあう方法を大きく変える一種の革命となりうる。 2020年までに、750億ものIoTデバイスが、画面のないCUI*キーボードらと連携される見通しだ。(*character user interfaceの略で、キーボードからコマンドと呼ばれる文字を入力する一つのコンピュータ操作方法)
もちろん、その状況はアメリカだけではない。 Google HomeやAmazon Echoのリリースが比較的遅かったヨーロッパでもスマートボイスの市場は安定して拡大している。
音声基盤インターネットの市場はソフトウェア開発者にとって、成長著しい魅力的なものとして捉えられている。しかしながら、それらの機器の人気に問題がないというわけではない。GoogleやAmazon、その他の名前が知られていない企業の激しい競争は、開発者に、異なるプロトコルやAppなどの様々なプラットホームへの対応を覚えさせるなどの負担を強いらせている。
異なるプロトコルやApp Storeで開発することは、実際の機器やサービスをそれらと連携させるのに莫大な時間と、努力、能力が必要になってくる。 Amazon, Google, Microsoft, Facebookらは独自のインターフェース機器を作りあげたが、それらを互いに協力させあうための、互換措置についての基準は一切ない。
それゆえに、どの企業の製品を選ぶかによって、消費者たちは分断されてしまっている。これはその市場自体の成長の可能性を妨げていることにつながっている。
ボイスウェブの立ち上げ
この音声基盤ネットワークの大きな分断を乗り越えることがJianwen Zhao 氏にとって、最大のミッションとなっている。Jianwen Zhao 氏はinstant messaging (IM) app を作るなど、この分野のパイオニア的存在である。彼は自身の作った特許技術をWeChatに買い付けてもらった実績がある。同様の技術はTelegram, Whatsapp, KIK Messenger, Facebook Messenger, and lineなどのモバイルアプリケーションに幅広く使われ続けてきた。
Zhao氏はコミュニケーションがキーになると理解したうえでこのように語る。 「ボイスインターネットのユーザーは既に言語の壁によって分け隔てられてしまった。異なる機器の使用は異なる音声コマンドの使用につながるというこの隔たりは混乱を導く結果になった。通常のユーザーならば新しい機器を使い始めるたびに、新しいコマンドを毎回覚えたくはないはずだ。」
それぞれの音声機器にはそれぞれ異なるプロトコルやルールが存在し、開発者たちは、自ら作ったAppなどを市場にリリースする際に、いちいち柔軟にそれらに対応しなければならない。その違いというのは非常に大きく、開発者はそのAppを作動させるために、機器の違いに応じて異なるバージョンを生み出さなければならないという無駄が生じているのだ。そして、開発者が従順しないといけないそのプロトコルの余分さは、機器の利用可能な幅が増えるとき、さらに増えていくようになっている。
この共通な基準がない状況というのは、異なる音声機器を使うユーザー同士は、全く違うAppやサービスにわざわざアクセスしなければならないという現在の状況を導いている。
Voicechainは何十億のIoTデバイスをつなげ、制御し、すべての音声サービスを連携させる会話的なインターフェースを供給している。それらはチャットbotやIoT、ポストモバイル世界のユーザー体験への架け橋になるはずだ。
実際に、私たちはこのプラットホームの大きな分断を目の当たりにしている。アップルのSiriはGoogle HomeやAmazon Echo を通しては使えない。Yahooにおいてもいくつかのチャットbotはプラットホームの違うApp Storeに排外されている。なぜならば、それらはそのプラットホームに対してアクセス権がないことや、互換可能機能がないために音声機器が作動しないということが問題になっているからだ。それらのAppをその他の機器と互換させ、App Storeでリリースするためには、YahooやApple らはそれぞれの機器のブランドに対して、いくつかの異なるバージョンをわざわざ作っていかなければならないだろう。
中国の音声基盤ネットはスマートデバイスで始まる。
中国はこの非互換性によって音声基盤ネットワーク産業の可能性が狭められている格好の例となっている。現在、中国ではスマートデバイス市場が勃興してきてる状況で、Baidu, JD.com, and Alibabaなどの国内企業はそれぞれ独自のスマートデバイスを始めようとしているところである。
しかしながら、これらの中国企業三社からのスマートデバイスも彼ら独自のプロトコルとApp Storeを持ち始めるだろう。Google HomeやAmazon Echoの状況と比べて、さらに悪いことに、開発者はより広い市場規模の可能性により、企業製品をプラットホームの当てはめのために、より時間や労力を使わなければなくなる。
ブロックチェーンによる突破口
Voicechainウェブ創始者のZhao氏はプラットホーム統合のための解決策を提案した。その提案とは、音声ドメインを公のブロックチェーン上に登録させることである。そのブロックチェーンはVoicewebと繋がっており、すべてのユーザーがダイレクトにプロダクトにアクセスする機会を持たせることができる。そのうえ、開発者たちはいちいちデバイスの規格に沿うための煩わしい努力をしないで済む。そのサービスやプロダクトは誰でも、どこからでも音声で出力、指示できるような一種の魔法になる。
Voicechainによってすべての企業、人々、サービスがURLのようなユニークなボイスIDを持つことになる。そこでは、私たちはもうパソコンのブラウザやクレジットカード、スマホなどが必要ではなく、私たち自身の音声さえあればVoiceWeb をサーフできるようになるのだ。
開発者が想定するプロダクトに関わるあらゆる指示はVoicechain's Voice ドメインに登録される。例を挙げると
"Uber - 空港までの送迎を手配して"
"Yelp - 近くのおいしいステーキ屋さんはどこ?"
"Tesla - カーメンテナンスのスケジュール調節がしたい"
"BBC - 今日のトレンドニュースは何?"
"Radio - 日本の流行っている曲を流して"
VoiceWeb 創始者のZhao氏は、この技術革命なしには、開発者たちは音声ネットワーク産業から全員締め出されてしまう可能性がある、と強く語る。「現在のApp Storeやスマートデバイス産業は小さな開発チームを自然と追い出してしまっている傾向にある。開発者たちは労力がかかりすぎてしまうために音声アプリを一つ一つのプラットホームに提供し作り出す余裕がない。これらの製造産業はブロックチェーンによって創出された音声アプリでさえも排外しようとしている。既得権益を守るためにユーザーたちまでもが見捨てられている状況だ。」
Zhao氏のビジョン下では、開発者はもうこれ以上デバイスやプラットホームによる違いで消費する無駄な努力に悩ませられることはないとされている。(例、車のスピーカー、スマートスピーカー、スマートフォン)そして、ユーザーたちは全ての範囲の音声アプリに手が届くことになるだろう。従って、グローバルなチャットbot経済圏が作り出されるだろう。
音声ドメインの導入後、Voicechainは非中央集権化の立ち上げに焦点を置き、ブロックチェーンを使った音声アップストアはカルテル企業を打破するだろう。 その世界では、コミュニティの合意で作られたルールによってコントロールされていくことになる。そして、すべてのユーザーと開発者が等しく市場に組み込まれる、開けた場が生まれる。
「グローバルな音声アプリ経済圏は音声ネットワーク産業の未来に確実に必要となってくる。その産業は開発者とユーザーらにスマートデバイスや音声技術による最大限のアドバンテージを享受させるために非中央集権化の解決策が必要になる。」とZhao氏は言う。
この非中央集権化のプランがなければ、今後数十年、ユーザーたちは、なぜお気に入りのアプリが他のお気に入りのデバイスで使えないのかと頭を悩ますことになるだろう。
原文=Kenny Au
訳=菅井 脩