内藤、亀田戦に見る「約束」の意味と悪役への期待
史上最年少世界王座を狙った亀田選手を内藤選手が破って最年長世界王座防衛記録を更新した。 試合の内容は多くの方が書いているので割愛するが、前日の会見で、
「オレが負けたら切腹する。おまえが負けたらおまえもやれや。思いが違うねん。根性ゼロやな。」
と約束と侮辱発言の行い、さらに、お金に苦しんでいる内藤選手とジムに対して、数百万といわれる金の衣装とサングラスで、
「ボクシングを知らない人が見たら、こっちがチャンピオンと思うやろ。スター性が違う。内藤くんが着ても似合わんで」
などと侮辱発言を続けた亀田選手が負けたことから、彼がどのように約束の落とし前をつけるのかが気になるところだ。
亀田兄弟と父のおかげでボクシングファンが増えたのはうれしい限りであり「悪役」として、その役割を演じ気って欲しい。 やはり「悪役」と「苦境の中で若者が人間的に成長していく姿」は、ドラマや小説には欠かせない。
しかし、2つだけ改めて欲しいと思うことがある。
一つは「約束」の仕方である。
・誰も喜ばない約束
・最初から約束を果たす気が無い
・約束に関して何もコメントしない
私はそこを一番非難したい。男の約束とはそんなものではない。 だからと言って、切腹して欲しいわけではない。 絶対にすべきではない。
内藤選手が試合後の記者会見で、「切腹」について記者から聞かれて、「ねちねち言ったらかわいそう」と若い亀田を気遣う姿に最年長王者の風格を感じた。
二つ目は「見えないところでの反則」である。
投げ飛ばしたのはいい。レフリーにも観客にも反則わかる。 悪役としてのパフォーマンス的な反則であり、本人の未熟さをみんなの前で披露しているからだ。
しかし、
内藤選手が「もっとクリーンならいい選手なのに」と言っている通り
試合中にレフリーや観客からはわかりにくい、
・足へのパンチ(動きを止めるための反則)
・もみあった時の相手の目にグローブを押し付ける行為
を行ったことである。
悪役は、人からわかるところで悪役を演じてもらわなければならない。 見えないところでの「こさくな」反則で勝とうとするようでは、悪役は務まらない。
しかし、私は期待している。
未熟な彼がボクシングを通して人間的に成長し、私たち観客に新しい感動を与えてくれることを。