ゲームイラストなどをクラウドソーシングで制作するプラットフォーム『MUGENUP STATION』を運営する株式会社MUGENUPが純損失1.5億円など:1分で読める注目の非上場企業の決算まとめ
ゲームイラストなどをクラウドソーシングで制作するプラットフォーム『MUGENUP STATION』を運営する株式会社MUGENUPが純損失1.5億円で資本金取り崩しなど、2015年10月27日の決算速報です。
減少公告 10月23日官報52頁より
当期純損失
△154,434千円(2015年5月31日)
利益剰余金
△215,005千円(2015年5月31日)
企業情報
企業概要
三井住友銀行で法人営業をしていた一岡亮大氏が、同期や広告業界の友人らと2011年6月に設立。同年12月にはインキュベートファンドから資金調達をおこない、翌2012年2月に主要事業であるソーシャルゲームのカードイラストなどをクラウドソーシングで制作するプラットフォーム『MUGENUP STATION』を開始、市場ニーズを捉え、急成長しました。
同プラットフォームの特徴としては、カードゲーム等のイラスト制作における作業行程を細分化、各々のゲームイラストレーターが自分の得意とする分野の作業パートを選択できるようにして、イラスト制作を分業体制で円滑にすすめていく仕組みをクラウド上に実現していることで、現在は、アジアを中心とした世界中のクリエイターに活用されて、登録クリエイターは3万人を突破し、ゲーム会社や出版社を中心に様々な企業から仕事の依頼があるようです。
最近の動向
資金調達としては、2012年9月にニッセイキャピタルから1億円、2013年8月にはIGPIとSMBCベンチャーキャピタルから1.3億円を調達していますが、利益剰余金の累積赤字と資本金の減少を見る限り、今回の純損失1.5億円でだいぶ吐き出している感じでしょうか。流動比率も流動資産207,458千円に対して、流動負債191,991千円で108%と、そこまで余裕は無さそうです。利益剰余金との差額やビジネスモデルを考えると、なぜこの段階で一気に赤字が増えたのかはちょっと不明です。
あえて予測するなら、既存事業だと、資金調達してた11年〜13年においては、主要顧客であるゲーム会社の主力ゲームはドラコレやドリランドなどのカードバトルを中心としたソーシャルゲームでしたが、現在はスマホに移行して、mixiやLINEのようなプラットフォームが出すカジュアルなパズルゲームや逆にミッドコアと呼ばれるような一本ずつ予算をかけたネイティブゲームが主戦場となっており、そこら辺のイラスト外注へのニーズ変化は無くはなさそうです。例えば、主要顧客が上場してキャッシュはある程度ある中で、クオリティが益々問われる状況で、ビジュアルも内製体制を強化するとか。そういえば、社内の制作管理システムの外販も開始しています。
あとは、新規事業の方では、2014年1月にリリースしたクラウドソーシングを使ったゲーム攻略サイト「みなゲー」がApplivに吸収されてたり、同年3月に、モーションキャプチャーや画像解析技術を組み合わせることで、役者の動きをリアルタイムに3Dアニメ化するライブコミュニケーティングアニメーション事業をリリースしてますが、ここら辺への投資対効果があまり良くない、とかでしょうか。
一方で、従業員数は100名を超えているようなので、売上はそれなりに立っていそうですが、その分舵取りの難易度は上がってそうですね、と思っていたら、代表の一岡氏も退任して顧問になっていたので、これは本格的に仕切り直しと見た方が良さそうです。
その他企業情報
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決算数字の留意事項
基本的に、当期純利益はその期の最終的な損益を、利益剰余金はその期までの累積黒字額or赤字額を示しています。ただし、当期純利益だけでは広告や設備等への投資状況や突発的な損益発生等の個別状況までは把握できないことがあります。また、利益剰余金に関しても、資本金に組み入れることも可能なので、それが少ないorマイナス=良くない状況、とはならないケースもありますので、企業の経営状況の判断基準の一つとしてご利用下さい。
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