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「2021年は開発部門の発言力が高まり、シフトレフトが進む」 Veeam CTOに訊くバックアップ展望

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バックアップの歴史を振り返ると、記録媒体がパンチカードから磁気テープに以降したのが約70年前。それからIT環境の変化とともに様変わりし、Veeamが創業した2006年以降は仮想環境のバックアップが求められはじめました。以来、バックアップは今やデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、サイバー犯罪の高度化などを受け事業継続、災害復旧の根幹となり、クラウド・データ・マネジメント時代の到来です。世界の四天王の一角をなすヴィーム・ソフトウェア最高技術責任者(CTO)、ダニー・アラン氏に2021年展望を聞きました。

データ戦略策定 「開発部門の発言権が強まる」

ダニーの相性で親しまれるヴィームの若きCTO、アラン氏。IBM Secure Engineering FrameworkVMware Horizon Air Hybrid-Modeを作った人物として豊富な知識と経験を持ちながら、穏やかで親しみやすい人柄が愛され、いつも引っ張りだこです。

アラン氏は2021年、企業の技術トレンドを引っ張る開発チームの力が強まる、と考えています。「すべての業界で、最高情報責任者(CIO)が会社の技術的な方向性を決める際に、開発チームに指示を一任するようになります。開発プロセスにおける可能な限り早期の段階(時間軸の起点に近い左側)で課題をつぶす、シフトレフト ("shift to the left")が顕著になる」と述べます。

これまでは、開発チームがデータをクラウドに移行する流れは、上から下へのトップダウンアプローチでした。しかし、世界的な新型コロナウイルスの流行が状況を変化させた結果、クラウドベースの環境が目に見えて強化されました。2021年には、データ戦略プロセスにおけるDevOpsチームの発言力がさらに強まり、ワークロードのモビリティーが向上、クラウド・データ・マネジメント技術がさらに普及すると予想されます。

コラボレーションのデータ保護と管理に注目

リモートワークに代表される「分散型ワークフォース」はコロナ前からすでに増加傾向にありました。しかしながらCOVID-19の大流行によって、完全にパンク寸前になりました。

多くの企業が来年半ばまで在宅ワークの延長を進める中、Microsoft TeamsSlackのようなクラウドベースのコラボレーション・プラットフォーム導入は拡大する一方です。これは、さらに多くのチームがクラウドの力を活用し、こうしたコラボレーション基盤から流入するデータを保存することを意味しています。よって2021年には、コラボレーション・ソフトウェアのデータの保護とマネジメントへの注目、意識、そしてニーズが高まることになるでしょう。

ハードウェアは衰退へ

テクノロジーをソフトウェアで管理・制御するソフトウェア・デファインドに移行する中、ハードウェアは衰退していくでしょう。10年前、ピカピカのアプライアンスは誰もが手に入れたがった憧れの新製品でしたが、想像ほど長く使えるものではないことが明らかになりました。これに伴い「バックアップ・アズ・ア・サービス(BaaS)」への移行、アプライアンスからの脱却が進んでいるのが現状です。新型コロナウイルス流行によるリモートワークの浸透は、2020年のハードウェア市場に大きな影響を与えました。このソフトウェア・デファインドのモデルが主軸となるトレンドは、2021年も続くでしょう。

機械学習の民主化、クラウドとデータが誰もに

組織が収集したデータが、無限のチャンスをもたらすという現実は、さまざまな組織がすでに目の当たりにしています。データの再利用(re-use)は、2021年も大きなトレンドであり続けるでしょう。多くの組織が、まだまだ発展途中ながらも機械学習の活用を後押ししています。機械学習がすでに持っているデータの分析や再利用に役立つと分かれば、導入はさらに増えるでしょう。企業はクラウドで機械学習を活用することで、究極的にスマートな組織となるでしょう。

コンプライアンス違反の罰金は引き続き、減少傾向

「データプライバシー」と「プライバシー規制」は、2021年も引き続き関心を集めることでしょう。新年にはプライバシーに関する最初の連邦規制案が出てくると予想されます。しかし、コンプライアンス違反の罰金は2020年同様に引き続き減少傾向をたどるでしょう。2019年にはコンプライアンス罰金の大幅な引き上げがあり、各々がEU一般データ保護規則(GDPR)やカリフォルニア州 消費者プライバシー法(CCPA)などの厳重さを深く受け止めるようになりました。こうした関心の高まり、認識の醸成を経た今、連邦レベルでプライバシー規制の一貫性を高める方向に移行していくでしょう。

IT支出がリバウンド、トップはセキュリティ

2020年のパンデミックに伴う経済的な混乱にもかかわらず、新年は一般的なIT支出が510%増加すると予想されます。内訳はまずセキュリティ、一般的なシステムのモダナイゼーション(バックアップ、アプリケーション、クラウドの移行など)、加えていまだハードウェアの刷新にも割り当てられるでしょう。

組織はIT支出を、2020年の「保留」分を含めて見直し、毎年定期的に発生する出費に目を向けると考えられます。例えば、3年更新のハードウェアが、パンデミックの影響で利用を中断された場合、2021年には削減対象のトップに躍り出ると言っても過言ではないでしょう。

今年は米国大統領選挙の影響で、IT投資がさらに増加、配分が増えるというユニークな状況にあります。選挙期間中は、結果が不確実で、最終的にホワイトハウスを占拠するのが誰になるかわからないため、歴史的にドルの変動が鈍化する傾向にあります。しかし11月以降は、選挙結果を反映した形でドルが流通するようになるでしょう。これは、パンデミックの抑え込みやワクチンの進歩、そして"日常生活"への回帰と同様に、IT支出が安定化していくのと同じプロセスです。

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カナダで教育を受け、フランス語と手話を話すアラン氏は、テクノロジーはもちろん社会への感度が高くバランスの取れた魅力的なリーダー。その予見どおり民主的な開発、クラウドとデータの活用が進みバックアップが進化、クラウド・データ・マネジメントがどう進展するか、引き続き注目していきます。

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取材協力:ヴィーム・ソフトウェア株式会社共同ピーアール株式会社

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