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デジタル庁とランサムウェア ~ 危機管理広報の視点

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平井卓也 デジタル改革担当大臣のもと、「デジタル庁」創設が動き出しています。ビジネスではもう何年も叫ばれているデジタルトランスフォーメーションを、国家レベルで実現する取り組みに期待が高まります。

デジタル化がもたらすのは光だけでなく影もあります。不幸にもドイツでは917日、デュッセルドルフ大学病院がハッカー攻撃を受け、同病院に搬送されるはずだった患者が予定変更により死亡しました。データの暗号化を盾に身代金を要求するランサムウェア被害が起因だったことから、「ランサムウェアによる死亡事件」と注目を集めました。
参考:Washington Post/Associated Press

だれもがコロナウイルスに感染する可能性があるように、だれもがランサムウェアの被害者になりえる。それほど、ランサムウェアはごくごく身近に潜み、最悪の場合は人の死につながる。医療機関へのランサムウェア攻撃が増加する中、この事件は決して特異な例とは言えないのです。

先日、共同ピーアールなど広報PR関係者が加盟する日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)から、「【重要】協会関係者を装った"なりすましメール"の発生について(PRSJ」という注意喚起が発せられました。これは今年2月、サイバーセキュリティ月間に菅義偉内閣官房長官(当時)が理解促進を訴えた「Emotet(エモテット)」の被害拡大を示しています。

Emotetoエモテットと呼ばれるマルウェア.png

出典:政府インターネットテレビ

参考:独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンター Emotet」と呼ばれるウイルスへの感染を狙うメールについて

エモテットは、ランサムウェアの呼び水になりえます。そして上述のとおり、ランサムウェアは間接的に人の命までをも奪います。

デジタルの負の側面を解決し、社会の健全化に導く力がこれからデジタル庁に求められるでしょう。社会を支えるデータ連携、システム連携へのさまざまな障害を取り除く牽引力が必要なのです。

ヴィーム・ソフトウェア株式会社 執行役員社長の古舘 正清氏は寄稿の中で、「ランサムウェアに万一感染してもデータを取り戻せるように、バックアップを取っておくことが必要」「バックアップは、企業データを守る危機管理広報の手段」と述べています。

デジタル社会では、ビジネス、生活のあらゆる要素が相互的に連鎖します。ひとつの負から次の負が生まれることがあれば、逆に力が力を呼ぶこともあります。その特性を理解した社会基盤構築が必要です。それがデジタル環境の危機管理に直結します。

データを完全に保管、復旧、利活用できる環境を整え、デジタルの効力をコロナ禍の終焉、SDGs達成につなげるひとつひとつの取り組みが、危機管理広報につながるのです。

参考:
初めてのグローバルPR会見で平常心を保つには?
新型コロナウイルスに負けない広報事例(テクノロジー PR)

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