問われるテクノロジーPRのレジリエンス
2月に本格化したコロナ対策も早5カ月目。PRの現場では、刻々と変わる状況に対応する力、レジリエンスが今いっそう求められています。手探りの最中、柔軟に挑戦し続けるIT企業、Veeam(ヴィーム・ソフトウェア)。グローバルと日本それぞれ取り組みを紹介します。
■ラスベガスが手元にくる緊張感
Veeamは2008年の創業来、企業データのバックアップ需要に応えながら急成長。クラウド化、デジタル化によりデータを取り巻く環境が変化する中、包括的なクラウド・データ・マネジメントを提唱しています。各界のリーダーが集う年次イベントのVeeamONは、バックアップを超えたデータ全体の未来を展望するイベントとして、社内外ともに白熱します。
そんなVeeamも、もともとラスベガスで予定していた今年のVeeamON 2020を、オンラインイベントに切り替えて実施。 6月17~18日の2日間、アメリカ、ヨーロッパ、アジア各地それぞれの時間帯に合わせてサインアップする、時間選択式で開催しました。
スピーカーも当然、オンライン参加です。アメリカ各地を拠点とするVeeamの経営者たちが、自宅から講演のほか取材や会見に臨みます。これは本当に言うは易し。グローバル企業のトップが、昼夜問わずイベントに貼り付くための社内外連携に、ひたすら頭が下がります。
そのPRの裏方も、新しいチャレンジに直面しています。時差を計算しながら多数のスピーカーと記者の時間をすり合わせ、双方を確実につなげる緊張感。もし失敗したら...、と想像しただけで胃痛がー。それほど今のPR現場で一番恐いのは「オンライン取材が落ちること」。しかもクレージーなことに、どのイベントでも大なり小なりこうしたトラブルが、もはや当たり前にすらなっているのです。
もちろんわたしたちも、Veeamアジア太平洋地域のエージェンシーチームとして戦々恐々でした。取材事前に何度もシミュレーション、テクリハ(テクニカル・リハーサル)。うまく機能しないツールはすぐに見直し、代替。練習して自信をつけ、一人ひとりが互いに支え合えることを確かめて、「よしイケる!」と臨戦態勢で臨みました。
こうしてオンライン取材が始まると、もう腹を括るしかありません。同席者として参加していると、スピーカーと記者の人となり、素の良さがよく見えます。自分自身でエネルギーレベルを高め、記者一人ひとりに語り掛けるスピーカーたち。それは、かつてのように海外から飛んできてお付きの者に囲まれた「偉い人」とは違い、ためらいがありません。記者も、画面と時差、言語を超えて、スピーカーを乗せながらぐいぐい話を引き出します。それぞれの内側の輝きが、画面に映るのです。
そんなヘビーかつ刺激的なイベントを駆け抜けた結果、Veeam Software ビル・ラージェント(Bill Largent)最高経営責任者(CEO)率いるVeeamON 2020は148カ国、2万5000人と過去最高の参加者数を記録したのでした!
■日本ではハイブリッド
今回、Veeam日本法人ではヴィーム・ソフトウェア株式会社 古舘正清 執行役員社長が代表を務める記者会見を 、前回に続きリアル(会場から)とバーチャル(オンライン)のハイブリッド形式で行いました。
リアルの利点はもちろん、対面で取材できるためコミュニケーションロスがないこと。声、表情、動き、空気を通して最もよく伝わります。一方、スピーカーを1カ所に集めたところで上述のトラブルが生じてしまえば、誰も登壇できなくなるリスクを伴います。イベントがパニックになると、トラブルの原因を切り分けて復旧するのは、ベテランPRでも至難の業...。
そこで日本では、会場に複数のプラットフォーム、回線を準備し、リハを重ね、完全冗長環境を準備しました。可能な範囲で複数のアプリ、ネットワーク、端末を手配し、誰かがバックアップできる状態に。白状すると、前の週は不安で不安で眠れず、頭痛に悩まされました。前日リハで、すべての関係者が柔軟に対応してくれたおかげで、不安を払拭して当日に臨めました。
前回と違った点は、リアルとバーチャルの比率の逆転でした。2月時点ではリアル参加が9割のためシステムダウンの心配はほぼありませんでした。しかし、6月時点では真逆。つまりオンラインリスクが9倍に激増する計算です。当然、モニターに並ぶ無数の記者アイコンを前に、失敗を許されない緊張感が走ります。
そしてオンライン会見ではどうしてもライブ感が足りず、質問を引き出すのに苦労します。テレワークに伴い以前よりも多忙になった記者のことを考えると、リアルでもオンラインでも、無駄な気苦労なく取材できる環境の大切さを思い知るのです。
こうして駆け抜けたハイブリッド会見終了後は「よかった~~~!!」と心の中で万歳。リラックスして登壇し、一生懸命伝え、質問に答えてくれたスピーカーの笑顔にホッとしました。
そしてなにより、ひたすら記者に感謝!満足をこっそり聞かせてくれた記者、その日ぶらりと現れてくれた記者、質問を寄せてくれた記者、時間を作ってくれた記者...ひとりひとりに涙目でお礼に行きたくなりました。
■CTOからのメッセージ
全てのVeeamONイベントを終えて心に残ったのは、 Veeam Software ダニー・アラン(Danny Allan)最高技術責任者(CTO)兼製品戦略部門シニアバイスプレジデント の言葉。「もはやCOVID-19前になることはない。だから最大限にデータをAI(人工知能)、マシンラーニング(ML)で再利用し、新しいものを生み出すチャンスなんだ」と目をキラキラして語ってくれたひとときをリプレイし、心癒されました。
取材協力:ヴィーム・ソフトウェア株式会社、Appier、共同ピーアール株式会社
広報支援 PR ever(ピーアール・エバー)(ヴィーム、Appier事例)を再構成しました。