新型コロナウイルスに負けないPRのカギは「情報」
新型コロナウイルス(COVID-19)対策によるイベント開催の中止や延期、臨時休校が相次いでいます。PR会社として、新型コロナウイルス対策をめぐる危機管理広報の観点から、相談を受けることも増えました。
今だからこそ、いたずらに恐怖心をあおるのではなく、広報人、PR会社ならではの見解や成功事例を社会の役に立てられたらと考え、最新の情報をまとめました。
■SNS時代の落とし穴
最初に心したいのが、 新型コロナウイルスという新しい問題に対して どう対応すべきか、主体性が必須ということ。 自社がどうすべきかは、存在意義、事業内容、お客様ならびに関係各位(ステークホルダー)を考えて、自ら情報を取りに行き、主体的に考えなければならないのです。
企業広報として平静、冷静に対処する上で、この企業判断の軸がぶれると、手段に惑わされてコミュニケーションが混乱する恐れがあります。このSNS時代、広報が企業の姿を表面的に偽ろうとしても、すぐに見破られます。企業の広報活動の是非、社会からの評価は、後からついてくるのです。
社員ひとりひとりも個人として、感染症の拡大阻止のために、健康・医療環境のコントロール権限を持つ組織(国や企業など)の規範を守ることが必要です。一方で注意したいのは、誰しもがこれにより"自分(達)以外が見えなくなりやすい"という落とし穴です。外に目が行きづらくなり、無意識の偏見が生まれがちな状況なのです。
■「声なき声」に耳を
表立った差別をしない、八百万の神を取り込んできた日本でも、残念なことにたったひと月で、xx人が...と国籍差別ともとれる発言を耳にすることが多くなりました。同様に、海外に住む日本国籍の友人たちも、アジア人や外国人としてひと括りにされ、心無い言葉を浴びる差別を経験しています。
もはや、新型コロナウイルス対策とあわせて、「こころの健康」を同じくらい重視する必要があるのではないでしょうか。
とくに、同調圧力が働きやすい日本では、「ほかの人がやっているから」と人のまねをして、何でも自粛しがち。その陰で、社会的弱者、社会モデルによってつくられたさまざまな障害者の方々がいっそうの不利益を強いられてないか、細心の注意が必要です。(参考文献:『新版 障害者の経済学』 中島隆信著、東洋経済新報社刊)
■クールな先駆者たち
主体的に考え、果敢に挑戦するIT企業の広報事例を紹介しましょう。いずれもデジタルとクラウドを駆使した創意工夫により、新型コロナウイルス拡大以前から準備してきた計画を実行。日本経済に漂う停滞感を打ち破り、PR効果を上げています。
◇オンラインチャンネルを併設 (Veeam)
IT企業(クラウド・データ・マネジメント)のVeeamは、バックアップの新製品「Veeam Availability Suite v10」記者発表会を、消毒液を配備した自社オフィスで予定通り実施。これにあわせて急遽、新型ウイルス対策のためオンライン参加枠も開設しました。
グローバル企業だからこそWeb 会議 がふだんから浸透している上、 新型コロナウイルス対策のための社内通達がいち早く行き届いていたため、非常にスムーズな運営でした。
これにより、滞りなく待望の新製品発表に踏み切っただけでなく、広報として過去最高クラスの成果を上げました。
◇インターナショナル中継に切り替え (Appier)
AI企業のAppierでは、チーフAIサイエンティスト、ミン・スン氏を台湾から迎えて「ディープフェイク(Deepfake)」についての記者説明会を計画していました。この折、日本への渡航がかなわくなったミン・スン氏は、急きょ中継形式に切り替え。その先進性はテレビ、テレビ東京 ゆうがたサテライトでも取り上げられ、YouTubeにも広がりました。
ミン・スン氏のコメント「 不確定な情報や遅れて入ってくる情報によって企業が判断を誤ってしまうことが一番の懸念」は社内外はもちろん、国内外に伝播。さらに、「新型コロナウイルス感染拡大の中、企業のマーケティング担当がとるべき7つのアプローチ」もプレスリリース発表しました。
今だからこそ正しい情報やデータの活用が必要であるという情報発信に、自ら貢献しました。