富士フイルム世界席捲の勢いが垣間見えたワールドマーケティングサミット
1月31日、富士フイルムは、米ゼロックスの買収により「世界最大規模のドキュメントソリューションカンパニー」を目指すと発表しました。記者会見で富士フイルムホールディングス 代表取締役会長 CEO 古森 重隆 氏は、同社の事務機事業のグローバル展開を加速すると熱弁した模様が報じられています。
これに先立つ師走、ワールドマーケティングサミット東京 2017で古森氏は、基調講演として登壇したノースウェスタン大学 ケロッグ経営大学院教授フィリップ・コトラー氏に「ただビジネスができるだけではない、知恵を持つ経営者だ」と称賛され、講演のトップバッターを務めました。そこでは決してマーケティング論を語らず、自身の経営思想、同社のあゆみ、経営者としての意気込みを述べました。
古森氏の講演に象徴されるとおり、同サミットの特徴は、マーケティングを、企業が利潤を上げるための営業支援活動に限定せず、ビジネスを通して社会や経済の発展を促すあらゆる活動といえるほど広義に位置付けている点です。同イベントに注目する筆者は、1997年にシステム会社に就職時は「マーケティング」に所属し、それから99年に通信会社の広報になったのをきっかけに「PR」専門になり、時代および立場の変遷とともに、マーケティングおよびPRのあり方の変化を現場で目の当たりにしています。そして、マーケティングとPRは、いずれも単なる担当者の業務を示す職域ではなく、強いブランドを作る上で組織に必要な機能だと考えています。
企業においてマーケティングもPRも、業務面では担当者がオーナーとして現場を率いることがむろん欠かせませんが、経営者を筆頭にあらゆる部署が活動に協力してこそ発展的に機能し、ブランドを形作る、と考えています。よって、ワールドマーケティングサミットで古森氏がマーケティングではなくリーダーシップを語ったことに、世界席捲を目指す組織を発奮させ成長させる意義があったと見ました。
今後、企業が生き残る上で必要なデジタル資産を生かした変革(デジタルトランスフォーメーション)、これを実現するための革新(イノベーション)、これらを支えるマーケティングとPRが作る企業のブランド。経営を取り巻くこうした抽象的な要素の動きと相関を考える上で、示唆をもたらしたワールドマーケティングサミット東京 2017の模様を次回以降まとめます。
※ コウタキ考の転載です。