取材原稿「ファクトチェック」のポイント
テクノロジー分野の企業PR支援を生業に、プロボノで「テクノロジー・ネットワーク」を運営する中の人です。
前回に続き、デジタルマーケティング情報サイトMarketingBase等で取材執筆する大下文輔氏とともに、取材を受ける立場として原稿の「ファクトチェック」上、押さえるべきポイントをまとめます。
■ ファクトチェックの目的とは?
ファクトチェックの目的は、誤報を含むトラブルの防止です。書き手は、正確な記事を書くと同時に、話し手と良好な関係を維持しようとする善意から、事実確認を依頼します。すなわち、プレゼンテーションや取材を読者に伝える価値があるという観点によるものがほとんどです。
媒体は独自の編集方針のもと、読者を抱えています。専門性の高い内容を記事にする場合は、読者に合わせてかみ砕くことも、媒体の仕事です。原稿は、その媒体の編集方針に合わせて書かれます。文体、用字などを含めた表記ルール、記事の長さ(字数)、口調などは、媒体の規定に従います。
記事を通して何を伝えるか、は話し手ではなく、書き手が決めることです。プレゼンテーションやスピーチなどのコンテンツオーナーはあなたであっても、記事は著者の権利物です。媒体の方針やルールの存在を忘れ、記事を自分のものと錯覚して書き換えようとすると、媒体と軋轢が生じかねません。二度と取材が行われなくなるリスクも認識しましょう。
■ ファクトチェックの基本原則4つ
話し手が、取材原稿のファクトチェックでまず確認するのは、①自社の規定表現、②流動的事項、についてです。
前者はブランド表記など、自社で規定している表記は統一することを明示します。後者は時間軸により変化すること、例えばソフトウェアのバージョン変更などが予めわかっている場合は、著者に伝えるべきでしょう。
以上を含むファクトチェックの基本原則4点は以下のとおりです。
1) 事実関係の誤り
話し手が伝えた内容に誤りがあった箇所や、書き手の誤解は、訂正内容を連絡します。
2) 誤字脱字、明らかな表記ミス
書き手の誤字脱字、明らかな表記ミスは連絡しましょう。アルファベット、カタカナなど表記法が複数ある場合どれを選ぶかは、媒体側の表記ルールに従います。
3) 専門的な誤り
専門性の高い分野で、書き手の理解が及ばす、適切に表現されていない場合があります。訂正箇所を明示し、客観的な事実を説明し、補足資料があれば添えて連絡します。
4) 第三者に迷惑をかける箇所
話した内容が文字になった時に、第三者に迷惑や被害が生じることが判明したら、書き手に速やかに相談します。何がどう迷惑なのかは、当事者の話し手にしか分からないので、書き手の言論の自由を尊重しつつ、表現法を相談します。ここで非公開の内容を開示する必要はありません。
以上、訂正や削除の依頼を含め、どこをどう変更したいかを明示するのがマナーです。
※コウタキ考の転載です。