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何となく見過ごされているけど、実はとても気になっていること

ツッコミたいっ!

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 22日(水)、23日(木)と「VA Business Forum 2005」が開催されていました。1日目の「ビジネスデー」、2日目の「OSSテクニカルデー」とも、それぞれ興味深いセッションがいくつもあったのですが、残念ながら他の取材とバッティングしたりして、全部を聞くことはできませんでした。

 OSSテクニカルデーの注目は、やはり、午前中に行われた「スペシャルセッション『OSS Roundup』」でしょう。

「オープンソースの文化やビジネス、技術、その他様々なトピックに対し、事前に収集した疑問や質問をもとに、オープンソース界隈で様々な活躍を見せている個性的な5人の面子がざっくばらんに語るフリートークセッション。」(同イベントのプログラム)

 まつもとさんや八田さんといったこの業界の「論客」に、最近話題の小飼さんらを交えて、いったいどんな議論になるのか、私も興味津々でした。

 が、ふたを開けてみると、議論というよりは「オープンソース子供相談室」のような感じで、各人がそれぞれの考えを述べるに留まり、私としては、率直に言って、かなり期待はずれでした。

 急いで付け加えておきますが、決して内容がつまらなかったというわけではありません。それなりに楽しめたという人もいたことでしょう。ただ、私が期待していたものとは違ったというだけです。

 また、私自身、これまでに何度もパネルディスカッションのモデレータを経験してきて、その難しさ――特に「議論」へと持っていくことの難しさ――は、身にしみて分かっているので、司会を務めた佐渡さんの力量をウンヌンしているわけでもありません。彼は彼なりに、持ち味は十分に発揮していたと思います。

 要するに私の期待が過剰だったということな のでしょう。とはいえ、今回のようなフリートークセッションは、登壇した各氏が、特定の企業や立場などの柵(しがらみ)からは比較的自由に発言できる状況だっただけに、「もったいないなぁ」という感は、やっぱりぬぐえないのでした。

 たとえば、「世の中にある非オープンソースソフトウェアを1つだけオープンソースにできるとしたら何を選びますか」という質問では、あれがいい、これがいいという「願望」を言い合うことに終始してしまい、ついぞそこから議論が発展することがありませんでした。

 その場では「Windows Me」という具体名が挙がったりもしていましたが、そこで、なぜそれがオープンソースになると嬉しいのか、その「嬉しさ」は、「オープンソース」のどの性質によってもたらされるのか、それがオープンソースになることで他のソフトウェアへの影響はあるのかないのか、あるとすれば何か──などなど、オープンソースの本質に迫るような、あるいは、各人のオープンソースに対する根本的な考え方をあぶり出すような、そんな展開にできたのではないかと、会場の片隅でヤキモキしながら見ていました。

 というわけで、この「OSS Roundup」は、私にしてみれば、ツッコミたくて、ツッコミたくて、フラストレーションがたまるセッションでした。

 そういえば、その数日前、サイボウズ社が主催する「ビジネスオープンソースフォーラム2005」のパネルディスカッションにパネラーとして出演した際、ディスカッションが終わったあとで、パネラーの1人から「風穴さんは、ツッコミタイプですね」と指摘されたのを思い出しました。それまでは、自分ではあまりそういう自覚がなかったのですが(笑)、実はまったく的を射た指摘だったのかも。

 もちろん、期待感からフラストレーションが高まってしまうのも、そうそうたるメンバーが出席していたからであり、また、そういう人たちが自由な雰囲気の中で発言できる場だったからです。それを「Business Forum」という名前のイベントで設定できるということは、主催者であるVA Linux Systems Japanの「らしさ」(=良い意味でのユニーク性)が失われていないということであり、その点はとても感心(そして安心)しているということは、申し添えておきます。

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