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社員の時に見ていた店の状況、オーナーになってから見ている店。見ている方角が違うとこんなにも違うコンビニの光と影。お客様とは何にも関係無いところで巻き起こるあれやこれ。(笑

不思議な粗利益~学べる店舗数値力9

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オーナーと本部の争いの多くは売上の問題だが、FC契約における清算書の計算方法が問題になることもある。その計算方法とは、粗利益の算出方法だ。

値入の話の時に、値入と粗利益は違うと書きました。どう違うか、もう一度確認しておきましょう。
◯値入
販売前における商品の原価と売価の差を「値入」と言います。
◯粗利益
商品販売後、その商品のロスを原価に入れて計算した、利益部分を「粗利益」と言います。

ところが、コンビニのFC契約上、粗利益は商品ロスを含めないように計算します。そこに、争いの火種があるのです。
「ロスを含めないように」とは、どういう事か。下記の表を御覧下さい。
粗利1.JPG
左が通常の粗利益計算です。右がFC契約上の計算式です。
通常、廃棄・ロスは期末在庫に含まれますというより、期末には廃棄して無くなっていますから当然ですね。FC契約における計算式では、わざわざ、売上原価2(通常の売上原価から廃棄・ロスを引きます。その意味は廃棄・ロスが無かったことにする為です)の様な項目を作って、廃棄処分高と棚卸ロス高を計算に組み込むのです。
これが多くの訴訟となっている「廃棄ロスにロイヤリティー(本部取り分)をかけている」ということです。本部は少しでも本部利益(ロイヤリティー)を増やすが為、粗利益を増やすのです。

えっ、利益増えるの?
いえ違います。粗利益を増やすということは、そのあとで計算される本部取り分を増やすということです。多くのFC契約は粗利益を分けます。もちろんチェーンや契約内容によって利率は様々ですが。
廃棄・ロスはその後、経費項目で引かれることになりますので、廃棄とロスは店の負担ということです。経営におけるリスクは店だけが負う仕組みなのです。私は知っていて契約しているので不満はあるものの契約内容は理解していますが、この仕組みを知らずに契約した人にとっては、訴訟を起こすほどの不満となっています。

リスクを負うのは経営者だから当たり前なのでは?
もちろんそうでしょう。しかし、そこには「店舗巡回者の指導」というものがあります。
店舗巡回者は、「欠品」という名のもとに発注を多くさせようとします。そればかりか、本部が提供してくるキャンペーンは発注を増やすために行なっていると言っても過言ではありません。
そうですよねぇ、自分達は廃棄ロスの心配をする必要は無いのですから。
ですから、おでん問題のようなことが起きるのです(詳細は下記リンク)
【おでんは暑いからヤメロ!絶対にやるなよ!→ハイ、おでん始めますよ!←俺は芸人じゃない】

現在まで、この問題は多くの裁判となっていますが、すべて本部側の勝訴となっています。
皆さんはそれでもコンビニオーナーを始めますか?
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