オルタナティブ・ブログ > “ソムリエ”金井の情報活用よもやま話 >

情報活用と意思決定について、日々考えていることを綴ります

No.4 分析と“アート”の融合 ~ シルク・ドゥ・ソレイユを観て

»

シルク・ドゥ・ソレイユCIRQUE DU SOLEILコルテオCorteoゼッドZEDを観ました。

以前、ラスベガスでO”(オー)を観たのですが、その衝撃は忘れません。サーカスを超えた正確無比なパフォーマンス、圧倒的な迫力、類を見ない美しさ。しかし、“O”の真骨頂はそれらにはなく、高いレベルの芸術性にありました。

単に美しいだけでなく、“O”が醸し出す摩可不思議な空気は、初めて経験する芸術的感覚でした。人間の精神の根底に響くような音楽と演技。精神は感動に打ち震えました。

コルテオとゼッドは、期待が大きすぎたせいか、“O”には及びませんでしたが、完璧で美しいパフォーマンスは同様でした。肉体を限界まで駆使し、人間ができる究極の躍動と造形を表現しています。

コルテオとゼッドを観ながら、“アート”の世界と「知の世界」の関係に思いを馳せていました。「情報活用と意思決定」を考えることは、「知の世界」を考察することです。「データ」は「情報」に変容し、「情報」は「知」に進化します。「知」に進化するには、何か特別な触媒が必要に思えます。それが“アート”ではないかと思うのです。

ビジネスだけでなく、何か課題があった時、その課題を解決するためには情報や知識が必要です。情報や知識がないとアイデアが浮かびませんね。

例えば、クラシックからポップスまで多様な知識を持っている優れた音楽家は、作曲する時に直感ではなく、知識の引き出しから様々な要素を出し構成して行くそうです。実はすごく論理的な作業なのだとか。

ビジネスでも、新しいアイデアが生まれるまで、情報を集め分析し深い考察をすべきです。これが売れそうだと、根拠なく判断するのは誤っていますね。

一方で、“アート”の世界の感覚も必要です。“センス”と言い換えてもいいです。分析がデジタルなら、アナログの世界です。

例えば、販売する商品を決める場合、過去の情報の分析から商品ABCが売れそうだと導かれたとします。この中のどれにするかが問題で、その時“アート”の感覚が必要になります。選ぶ人の美的感覚や心の琴線に触れるものを選べる感覚があるかないかです。

分析の専門家は、往々にして分析結果だけで物事を決めてしまう傾向があります。それは誤ってはいないのですが、普通以上の成果はもたらさないでしょう。しかし、“アート”感覚が加われば、よりエクセレントな成果が期待できます。

反対に、直感的と言われる人がいますが、よくよく観察してみると、その人の決断には分析の裏付けがあったりします。

分析の技術と“アート”の感覚――意外かも知れませんが、この両方がないと真の「知」にはならず、ビジネスにおいても大きな成功は難しいということだと思います。

私もビジネスを進める上で、もっともっと優れた芸術に触れ、自分の美的感覚を磨き上げなければいけないのかしらん!?

Comment(6)