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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

やっぱりデジカメ任せじゃステキな写真は撮れないよねえ

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複雑な文書をわかりやすく構造化するコンサルタントの開米です。
が、今日は結構忙しいので、その本職とは関係の無い無駄なことを書いてみようと思います(いいのか?>自分)。

最近あるところである人が、「カメラマンの仕事は結構なくならない」という話をしていたらしいです。
(なぜこんな↑超伝聞形で書いているかというと、私はその発言そのものを見て/聞いていないからですが)

というわけでその一行だけを見て、ですが、一理あるなと思いました。

一方でこういう話を聞くとカメラマンという職業の未来に不安を覚える向きもあることでしょうが

"新聞社がカメラマンを全員クビにして記者にiPhoneでの写真撮影トレーニングを開始"
http://gigazine.net/news/20130607-chicago-sun-times-train-reporter-iphone-photo/

同じ、「写真を撮る仕事」にしても、↑これはそのマーケットのひとつが衰退するというだけで、きっと別な市場が代わりに生まれるのでしょう。

というのは、1年ほど前から自分で写真を撮り始めて分かったのですが、良い写真を撮るのはやっぱりそう簡単じゃない、と感じるからです。

現代はカメラのデジタル化、インテリジェント化が発達して、素人がフルオートで撮ってもそこそこ画質の良い写真が撮れる・・・・とは言っても、そういうハードウェアの力でカバーできる要素はカメラマンの仕事のうちのごくごく一部なんだな、と、この1年つくづくそう思いました。

実例を挙げますか。

この1年、私は家で飲むためのウィスキーを買ってきたときは、瓶を開ける前に写真を撮ってfacebookに載せています。
たとえばこういうのです↓

IMG_4835.JPG

それを見ていたある知人に最近こう言われました。

「開米さん、あの写真、自分で撮ってたんですか!
 あんまりキレイに撮れてるのでカタログ写真かと思ってましたよ。
 いやあ、ビックリしました!」

これ、ある意味では「賢いデジカメのおかげ」です。なにしろ現代のデジカメは私のような素人がカメラ任せのフルオートで撮ってもちゃんと写ります。

でも、一方で私はなにしろ自分で撮ったので、「フルオートだけじゃダメ」だということもよく分かりました。

「カタログ写真かと思った」と言われるような写真を撮るために自分が何をやっていたかというと、
小物撮影用のミニスタジオを作り、
背景紙を買ってきてセットし、
ランプ・レフ板その他のライティング機材を買ってきて光を当て、
それを何十枚も繰り返して試行錯誤した中から
ベストの一枚を選んで載せていたわけです。
酒の写真1枚撮るのに一時間はかかってます。
本当の素人が携帯のデジカメで5分で出来るような作業じゃないですね。

デジカメの技術がいくら発達しても、構図を考えて小物を配置したり照明を当てたりといった、撮影環境のプランニング、セッティングは何もアドバイスしてくれません。これこそプロの経験が必要な世界なので、やはりプロの仕事はなくならないと思うのですよ。

ただ、仕事のある領域、は変わるのでしょうね。

かつてカメラマンを多く使っていた通信社・新聞社・雑誌社での仕事は減る、これは間違いないわけで・・・
一方で、個人や零細企業が記念写真を残しておきたいとか、私のような個人事業者が宣材用プロフィール写真を撮りたいとか、そんなニーズはこの先増えそうです。

そうしてマーケットが変われば、売り方も変わるのは当然で、マーケットに合わせたブランディングとプロモーションができればカメラマンの仕事もなくならないのだと思います。

なにしろネットが発達したことで、個人も含めて小さな組織(大企業の一部署も含む)が写真入りの情報発信をできる環境は整っています。となるとそれに載せる写真を撮れる人材の需要も、潜在的にはあるはずなんですよ。それを掘り起こせているかどうかは別にして。

そんなわけで、変化の激しい時代というのは、工夫次第でバッチリ成長が見込める、面白い時代なんじゃないでしょうか。

そんなことを、ふと思う日曜日の夜でした。

さて、ムダ話を切り上げて仕事するか(^^ゞ

P3190477_ニューヨーク.JPG
(新宿・HERMITにて、ニューヨーク・カクテル。
 Olympus PEN E-PL5 + LUMIX H-H020使用)

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