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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

論理思考:「理想」を明確に設定しよう

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こんにちは、開米です。今日は原子力論考ではなく、論理思考系のお話です。

先日、このブログへのコメントにも類似の意見がありましたが、

太陽光や風力等の再生可能エネルギーがさらに普及する事によって、原発がいらなくなれば、安心して暮らせるようになる
という主張はわりとよくあります。

そこで、これをもとにしてちょっとロジカルシンキング風の考察をしてみましょう。

まずはここ(→課題と阻害要因と解決策 )の例にならって、
「理想」「現状」「ギャップ」をそれぞれ明文化してみましょう。

この場合、「理想」は何でしょうか? と聞けば

答え:そりゃ、原発のない社会ですよ。決まってるでしょう。
という意見がきっと予想されるので、

理想:原発なしですべての電力をまかなえる社会
現状:原発で3割の電力をまかなっている社会

といったん設定してみましょう。

するとすぐに「原発ゼロなら電気料金は2倍に上がってもいいのか?」というツッコミが入るはずです。
「原発ゼロなら電気料金2倍」というのは、脱原発方針を掲げようとした民主党政権が去年の夏に試算したシナリオです。これに「原発ゼロのためならやむを得ません」と答えるのは、お金が余っている人だけでしょうね。

というわけで、「理想」をもう少しきちんと描き出す必要がありそうです。

少なくとも、かかるコストに関する設定は必要ですし、それだけではありません。

・・・・続きます。

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