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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

A級順位戦最終局解説会にて「リアル」の力を考えた

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 こんにちは、開米瑞浩です。今日は、というか日付が変わったのでもう昨日ですが、将棋のA級順位選最終局大盤解説会というイベントに行ってまいりました。

 将棋のプロは今200人ほどいますが、上から順にA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組、フリークラスの6階級に分かれてまして、10人いるA級がトップリーグです。つまりA級というのはトップ棋士の証明みたいなもので、このA級で一位になると「名人」への挑戦権が得られます。

 そのA級順位戦(名人への挑戦権を争うリーグ戦のことを将棋界では順位戦と呼びます)の最終局が3月1日、日本将棋連盟で行われまして、その進行を逐一解説する大盤解説会というイベントに行ってきたわけです。

 ちなみにこれがその大盤解説会の様子。将棋会館ビルの1フロアで「大盤」という巨大将棋盤を使い、別室で進行中のA級棋士の対局を別なプロ棋士が解説するわけです。(以下、写真はいずれも私が撮影したものです)

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 将棋は子供のころからやってますが、A級順位戦大盤解説会に来たのは初めてでした。

 ・・・で、びっくりしました。
 何に驚いたかって、解説担当のプロ棋士の話がうまいことうまいこと。
 こちらは若手の実力者、広瀬七段
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 そしてこちらは一見ジャニタレに見えなくもないイケメンですが、実は同じく若手の強豪、阿久津七段(そろそろ若手卒業の声もありますが・・)
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 もうほんと、大爆笑の連続なんですよね。ビルの外で将棋を知らない人が聞いたら、お笑いのイベントをやってると思うんじゃないか、というぐらい。

 ほかにも有力棋士が入れ代わり立ち代わり登場しましたが
 若手は卒業した実力者、鈴木八段
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 現名人、森内俊之
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 そして元女流名人・矢内女流四段
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 いやあ、皆様そろって口がうまい巧みな話術の持ち主で・・・正直、プロ棋士がこんな「話芸」の持ち主だとは思いませんでした。(もちろん、200人いるプロ全員がそうじゃあないんでしょうけれど・・・・)

 ただし、「大爆笑の連続」とは言っても、ネタが通用する客層がかなーり狭いのは確かです。つまり、将棋界のことを知っている人にしか通じない。現代の将棋界の代表的な戦法とそれを使う棋士の誰がどんな性格で、という知識のある人が聞けば大ウケするんだけれど、知らない人が聞いても何のことやらさっぱりわからない、そういう話芸なんですよね。

 それで、思ったわけです。
 ああ、これは正しい姿だな、と。

 特定のテーマに沿って客を集めて、その客層にだけ大ウケする話をする、というのはビジネスとしてマーケティングとして限りなく正しい形じゃないか、と思いました。

 そして、果たして自分はそれをやっているか? できているか? と思い返すと・・・50点ぐらいかな、と。まだまだです。

 本来はA級順位戦の解説を聞きに行ったはずだったんですが、こういう形でビジネス上のヒントが得られるというのは思わぬ拾いものでした。

 そしてもうひとつ気がついたことがあります。
 それは、プロ棋士達の「大爆笑話芸」は、話芸というよりは「日常の素のままのキャラクター」に拠って立つ形で成立しているということです。

 お笑い芸人の話芸は隅から隅まで計算しつくされ演出された「フィクション」ですが、プロ棋士のトークは彼らの日常、リアルを飾らずに出すことによって成立している印象でした。この「飾らずに出す」というところがいまいち表現が難しいのですが、ほどよく力が抜けた感じとでもいいましょうか、あるいは「どうだ俺はここまでできるんだぜすげえだろう」というドヤ顔からは180度遠い姿勢と言ってもよさそうです。

 力が抜けている、というのは良いことです。テクニックを要するスポーツではだいたいそうですが、「力んで」しまうと技はかかりません。

 昨日の大盤解説会で解説に立った棋士達は、A級ではありませんがA級にいてもおかしくない実力者ぞろいで、要は「本物」な人々でした。だから、「ほどよく力が抜けた感じ」を出せるのかな? と感じたものです。まあ、それが当たっているのかどうかは、わかりませんけどね。

 以上です。では、また。

 写真はそのA級順位戦最終戦に勝ってA級1位を確定し、名人挑戦権を獲得した羽生善治三冠。激戦の後だけあってちょっと疲れた表情ですが、王者の風格を感じますね!
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