「分かりやすい解説」ができれば「教える」ことができるとは限らないという話
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こんにちは。文書化能力向上コンサルタントの開米瑞浩です。
「文書化能力」というのは要は、「複雑な情報をわかりやすく書く力」のことです。
「うちの社員の書く書類がわかりにくくて困ってます!!」という会社様から企業研修の依頼を受けて個別にプログラムを作り、研修を行うのが私の本業です。(決して原子力関係のライターではありません、ハイ(笑))
ところで「わかりやすく書く」ことが必要な場面にもいろいろとありますが、そのひとつに
問題を解決するための方法を教える場面
があります。新入社員を戦力にするために仕事を教えなければいけないとき、などが典型的ですね。こういう場合、「わかりやすく説明したほうがいい」・・・と普通は思うことでしょう。
まあ実際、普通は、そうするべきです。わかりやすい説明ができないよりはできるほうがいい。それは間違いありません。
しかし、しかしながら、実は「わかりやすい説明」をしないほうがいいときもあります。
「仕事が出来るようにする」という目的を考えると、手取り足取り教えるよりも、わかりにくい状態で放り出すほうがいい、という場合もあるんですよね。
それはいったいどういうことなのか、ある例をお見せしましょう。まずは解説付きで、ある写真を見てください。
・・・と、これは元の写真も解説文も「撮影技術をわかりやすく説明」するためにいろいろと工夫をして書いたバージョンです。
どんな工夫か、というと
あります。その上で解説文を書いているので非常にわかりやすく、「へえー、こんなことができるんだ」と思うはずです。
問題はこの
と、実はこういう感想はTVの教育系バラエティ番組でよく出てきます。要は読者、視聴者が「何か1つ豆知識を勉強した気になる」ような、その程度の印象にしか残りませんからすぐ忘れます。
その程度でいい、という読者・視聴者の人気を得たいならそういう書き方でいいのですが、もし、
現在発売中のSoftware Design 誌12月号で書いた特集でも関連する話題を書いているのですが、なんとなく分かった気になりたい人と本気で勉強したい人はまったく違うターゲットなので、違う書き方をしないと通じないんですね。
実際にこの「偏光フィルターの効果」を教える場面でどんな「状況提示」や「問いかけ」を使うか、という具体的な話はまた次回。
(なお、私は撮影技術に関しては単なる素人なので、この話はあくまでも「教える技術の一般論」の例として書いています)
「文書化能力」というのは要は、「複雑な情報をわかりやすく書く力」のことです。
「うちの社員の書く書類がわかりにくくて困ってます!!」という会社様から企業研修の依頼を受けて個別にプログラムを作り、研修を行うのが私の本業です。(決して原子力関係のライターではありません、ハイ(笑))
ところで「わかりやすく書く」ことが必要な場面にもいろいろとありますが、そのひとつに
問題を解決するための方法を教える場面
があります。新入社員を戦力にするために仕事を教えなければいけないとき、などが典型的ですね。こういう場合、「わかりやすく説明したほうがいい」・・・と普通は思うことでしょう。
まあ実際、普通は、そうするべきです。わかりやすい説明ができないよりはできるほうがいい。それは間違いありません。
しかし、しかしながら、実は「わかりやすい説明」をしないほうがいいときもあります。
「仕事が出来るようにする」という目的を考えると、手取り足取り教えるよりも、わかりにくい状態で放り出すほうがいい、という場合もあるんですよね。
それはいったいどういうことなのか、ある例をお見せしましょう。まずは解説付きで、ある写真を見てください。
【解説】
この写真は小田急百貨店町田店のショーウィンドウです。左側は偏光フィルターあり、右側はなしで撮影したものです。フィルターありのほうに比べると、フィルターなし版ではショーウィンドウのガラスに駅の案内板の光が映り込みが目立ちますね。
つまり、ガラス越しの被写体を撮影するような場合、偏光フィルターを使うとガラスへの映り込みをある程度除去できるのです。
・・・と、これは元の写真も解説文も「撮影技術をわかりやすく説明」するためにいろいろと工夫をして書いたバージョンです。
どんな工夫か、というと
違いがハッキリわかる写真を選び
2枚並べて表示して
「偏光フィルターあり・なし」のテロップを重ねて
あります。その上で解説文を書いているので非常にわかりやすく、「へえー、こんなことができるんだ」と思うはずです。
問題はこの
「へえー、こんなことができるんだ」という感想で、いかにも軽いですよね。
と、実はこういう感想はTVの教育系バラエティ番組でよく出てきます。要は読者、視聴者が「何か1つ豆知識を勉強した気になる」ような、その程度の印象にしか残りませんからすぐ忘れます。
その程度でいい、という読者・視聴者の人気を得たいならそういう書き方でいいのですが、もし、
撮影技術を本気で勉強したい人のためのカメラテクニック講座をするなら、別な方法があります。そういう場合は、いきなり解説はせずに、まず「状況提示」をして、「問いかけ」をし、様子を見ながら「ヒント」を出して考えさせ、最後に「解説」をします。
現在発売中のSoftware Design 誌12月号で書いた特集でも関連する話題を書いているのですが、なんとなく分かった気になりたい人と本気で勉強したい人はまったく違うターゲットなので、違う書き方をしないと通じないんですね。
実際にこの「偏光フィルターの効果」を教える場面でどんな「状況提示」や「問いかけ」を使うか、という具体的な話はまた次回。
(なお、私は撮影技術に関しては単なる素人なので、この話はあくまでも「教える技術の一般論」の例として書いています)
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